法や臨床の専門家ではない対人援助者が関わる各問題に即して「援助において困難が生じたとき」や「どのように援助すべきか判断に迷ったとき」などについて、どのように対応しているのかを中心に現場の視点でデーター収集をした。その検証をもとにして、対人援助者が子どもの問題(非行、いじめ)、家庭の問題(児童虐待、 離婚問題、ドメスティック・バイオレンス、高齢者虐待)、学校の問題(体罰問題、モンスター・ペアレントの対応)など具体的な問題、課題を通して、司法臨床の援助の観点から考察した。 その研究成果として、『心理職・援助職のための法と臨床-家族・学校・職場を支える基礎知識』廣井亮一、中川利彦、児島達美、水町勇一郎著、有斐閣、 2019年2月、を刊行した。本書は研究者・廣井亮一の司法臨床の実践と司法臨床の研究の集大成ともいえる研究成果になった。 さらに、昨今大きな社会問題となっているストーカー問題を検証対象とする必要性があることが明らかになり、研究目的をより精緻に達成するために補助事業延長の許可を受け、ストーカーへの対応について調査、検証した。その際、大阪府警本部と共同して、大阪府7警察署で受理したストーカー事案100ケースの質的分析を行った。さらに、重大事件につながったハイリスク・ストーカーのリスクアセスメントと司法臨床によるアプローチについて実証的に研究して、本研究成を完結した。研究の成果については、日本犯罪心理学会で中間報告した他、大阪府臨床心理士会の研修などで最終報告する。
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