研究課題/領域番号 |
16K04402
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
駿地 眞由美 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (10388217)
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研究期間 (年度) |
2017-02-23 – 2020-03-31
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キーワード | 乳がん体験者 / 病の体験 / 病の語り |
研究実績の概要 |
病の体験というきわめて個別的で主観的な体験を捉える上で、体験者本人の「語り」を分析することは必要不可欠である。そこで、本年度は、乳がん体験者の「病の語り」に着目し、以下の研究を行った。 ① NPO法人「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」による「健康と病いの語りデータアーカイブ」のうち、女性乳がん体験者47人の語りデータを計量テキスト分析し、多変量解析等を行うことで、乳がんという病の体験の様相について明らかにした。さらに、年代や、治療法などにより、病の体験の語りがどのように変化するのかについて比較検討を行い、病の体験に関わる要因を抽出した。 ②がん体験者の抱える心理的苦痛はがん種等によって異なることがわかっており、主観的に経験されている病の体験世界にも違いがあると考えられる。よって、①で得られた結果が乳がん体験者固有のものであるのかを確認するため、乳がん体験者および前立腺がん体験者の病の語りに着目し、計量テキスト分析を行って、それぞれの体験や語りにおける特徴、テーマを探索した。用いたデータは、上記アーカイブのうち、女性乳がん体験者47人および前立腺がん体験者52人の語りデータであった。結果、がんという体験をめぐり、乳がん体験者と前立腺がん体験者では懸念していることや拠りどころとしているもの等に違いがみられ、また、一回の発言に多様なテーマや情緒を織り込みながら自発的に病の体験を語る乳がん体験者に対し、前立腺がん体験者では数値やデータを用いて問答の中で語りが進められるなど、語り方にも違いが認められた。そして、具体的な語りの精査からは、がんの特徴や性別、年代等が複雑に絡まり、病の体験やその語りが形作られていることが推察された。 さらに、③海外の研究動向を知るため、がん患者らの心理的苦痛に関する海外の研究の展望を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳がん体験者の語りの計量テキスト分析を行うという当初の計画が順調に進行したため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果をもとに、次年度は、病の体験の様相とそれに関わる要因を量的に分析することを目的に、乳がんに罹患した経験のある20 代~60 代までの各年齢層100 人ずつ計500 人を対象とし、民間の調査会社を利用したweb調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度所要額として、DIPEXJAPANデータベースの利用料を計上していたが、以前から当該データベース利用していたため、本年度に限り無料で継続して利用可能であった。よって、それにかかわる経費は必要なかった。ただ、、次年度も引き続き分析を続ける予定であり、今年度に計上していた経費を来年度のデータベース利用料として使用することとしたい。
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