研究課題/領域番号 |
16K04404
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
吉野 真紀 日本福祉大学, 子ども発達学部, 准教授 (60548402)
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研究分担者 |
織田 裕行 関西医科大学, 医学部, 助教 (90340679) [辞退]
木下 利彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (20186290)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 性別違和 / 心理的変化 / 自己実現 / 心理検査 / ロールシャッハ・テスト / 半構造化面接 / 性別変更 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、性同一性障害(以下、GID)当事者を対象とし、治療前と治療を経て概ね臨む性別での生活を実現した時点とを比較することにより、当事者の自己実現のあり方および心理的変化を明らかにすることである。対象者として、GID包括医療を求めて受診し、初診時および治療経過時点での心理検査を実施し、経過を経て概ね望む性別での生活を送っている当事者6名を選定した。客観的変化の指標として、対象者6名の初診時および治療経過後の心理検査データを入手した。主観的変化を調べる資料として、対象者への半構造化面接を実施中であり、H28年度内に3名実施終了している。また、半構造化面接および分析に必要な専門的知識の教授(家族関係の聴き取り方、ジェノグラム面接の意義、児童思春期における性別違和にかかわる問題、性別違和を訴える子どもたちの家族が抱える課題、など)を受けた。その一部を「児童思春期の性別違和における心理的支援」として公表した。当事者の自己実現過程について理解を深めるために、トランスジェンダー生徒交流会やGID学会への参加を通して自己研鑽に努めた。トランスジェンダー(性別違和)をとりまく社会的環境や最新の研究の動向を把握するため、第24回World Professional Association for Transgender Health(WPATH, in Amsterdam)に参加し日本の主たる研究者と交流する機会を得た。 現在、研究協力者(臨床心理士:丸山智美氏など)との打合せを重ね、心理検査データの評定を進めている。残り3名の半構造化面接を実施するとともに、実施済の面接データの文字起こしを依頼中である。 ※性同一性障害(GID)という診断名は性別違和に変更されているが、対象者の診断確定時点ではGIDであったため、本研究の関連書類においてはGIDという用語を使用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の異動に伴い、当初想定していたよりも対象者とのコンタクトがとりにくい状況となったため、入手した心理検査データの分析よりも、新たに聴取する半構造化面接の実施を優先して遂行した。H28年度に半数の面接を実施済であり、H29年度に残り半数の面接を完了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、対象者の半構造化面接データを聴取し終え、面接データおよび心理検査データの分析に着手する。当初の予定では、対象者15名を目標としていたが、研究代表者の異動および共同研究者の変更に伴い目標数の確保が困難な状況となったため、データ数が減った分、質的な内容分析をより詳細に行う予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議参加(WPATH)の旅費の一部が規定外で使用できなかったため、想定額を下回った。半構造化面接実施のスケジュールを前倒しにして実施するための諸費用として、前倒し支払い請求(300,000円)を受けたが、対象者とのスケジュール調整の都合で全てを完了することはできなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
心理検査データの評定や分析をH29年度に先送りしたため、それに係る人件費や旅費等に使用する。また、H28年度内に実施できなかった半構造化面接のための諸費用として使用する。その他、半構造化面接データの評定、文字起こし、分析に係る諸費用に使用する。
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