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2018 年度 実施状況報告書

共感性疲労予防プログラムによるストレス低減効果の検証

研究課題

研究課題/領域番号 16K04408
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

瀬藤 乃理子  福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (70273795)

研究分担者 坂口 幸弘  関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (00368416)
片桐 祥雅  神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60462876)
福森 崇貴  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (50453402)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード共感性疲労 / マインドフルネス / ストレスケアプログラム / 支援者のストレス / セルフケア / 生理指標
研究実績の概要

共感性疲労予防プログラムの1つである「セルフケアプログラム」において、記述による主観的評価と、生理指標による客観的評価の各データ解析を進めた。
主観的評価では、155名の研修参加者の受講感想を質的に分析し、「身体感覚の変化」「気分の変化」「知識や技術の獲得」「自己の振り返り」「実践への動機づけ」という5つのカテゴリーが抽出された。また、二次元気分尺度では、覚醒度は変化がなかったものの、活性度、安定度、快適度はいずれの項目も、受講前に比べ、受講後には有意に改善していた(p<0.01)。このことから、単回(2時間半)の本プログラムを通して、著明な気分の改善が見られ、実際に日常生活にすぐ活用可能な知識やセルフケアスキルを学んだことで、セルフケアへの動機づけが高まる可能性が示唆された。
また、生理指標を使った評価では、プログラムの各項目ごとに気分の記述(セルフチェック)を行うとともに、6名の被験者のプログラム中の表面体温の変化、心拍変動(HF,LF,VLF,LF/HF)、脳波のα波およびSMR波のpowerの推移を、ウェアラブル心拍センサーとBiograph Infinitiを用いて測定した。プログラム中のマインドフルネス技法を複数行う実践練習では、後半にいくほど、表面体温は平均1.33度の上昇し、α波powerはすべての被検者で1.04~1.53倍上昇、SMR波powerは1人を除いて1.26~2.10倍上昇していた。また、心拍変動では、すべての被検者で、実践練習の後半にHFとLFが同期して非常に高い振幅がみられるという共通の傾向が観察された。その時のセルフチェックでは、全被験者において気分爽快や心地よさといった記述がみられた。これらのことから、プログラム中の生理指標の変化は、主観的評価で得られたカテゴリーの「身体感覚の変化」や「気分の変化」と深く関連している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

職場の異動により、測定や分析・解析環境を整えるのに時間を要した。そのため、生理指標(脳波)の解析の一部と、当初予定していた学会発表や論文化が年度内に実施することが難しかった。

今後の研究の推進方策

生理指標の結果の分析が一部残っており、早急にその解析を進めている。残りの期間で、本研究結果の学会発表や論文化など成果発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

職場の異動により、測定等の研究環境を整えるための時間を要した。そのため、プログラム検証に関する一部の解析と、解析結果の最終的な成果発表を年度内に行えなかったことから、残りの解析を進めつつ、今年度は学会発表や論文化を行う。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 災害とグリーフワーク2019

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子、前田正治
    • 雑誌名

      精神療法

      巻: 45 ページ: 39-45

  • [雑誌論文] Factors related to the fatigue of relief workers in areas affected by the Great East Japan Earthquake: Survey results 2.5 years after the disaster2018

    • 著者名/発表者名
      Setou N, Fukumori T, Nakao K, Maeda M
    • 雑誌名

      BioPsychoSocial Medicine

      巻: 12 ページ: 12-00

    • DOI

      10.1186/s13030-018-0133-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 看護師を対象としたProQOL日本語版(ProQOL-JN)の作成2018

    • 著者名/発表者名
      福森崇貴、後藤豊実、佐藤寛
    • 雑誌名

      心理学研究

      巻: 89 ページ: 150-159

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ビリーブメント2018

    • 著者名/発表者名
      坂口幸弘
    • 雑誌名

      Medicine

      巻: 55 ページ: 1840-1842

  • [雑誌論文] 睡眠時心拍変動に着目した障害児家族介護2018

    • 著者名/発表者名
      大槻奈緒子,中塘二三生、坂口幸弘
    • 雑誌名

      人間福祉学研究

      巻: 11 ページ: 117-126

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 災害時の女性支援者特有のストレス2019

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子、前田正治
    • 学会等名
      第30回福島県精神医学会学術大会
  • [学会発表] 死別と悲嘆をめぐる複眼的視座とその意義2019

    • 著者名/発表者名
      坂口幸弘
    • 学会等名
      第1回日本グリーフ&ビリーブメント学会学術大会
  • [学会発表] わが国の救急医療における遺族ケアの現状と課題に関する全国調査2019

    • 著者名/発表者名
      伊東由康・尾花美幸・川上大輔・村上典子・坂口幸弘
    • 学会等名
      第1回日本グリーフ&ビリーブメント学会学術大会
  • [学会発表] マインドフルネス瞑想とグリーフ2018

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 学会等名
      霊性研究フォーラム第10回学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] あいまいな喪失の理解とその支援(基調講演)2018

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 学会等名
      第21回日本臨床パストラルケア研究会学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 小児がん闘病中および終末期のリハビリテーションと家族への支援2018

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 学会等名
      近畿小児血液・がん研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] あいまいな喪失と支援者のレジリエンス2018

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 学会等名
      岩手県立病院医学会(地域連携医療福祉分科会)
    • 招待講演
  • [学会発表] 心象に直結するオノマトペの神経生理学的基盤2018

    • 著者名/発表者名
      今井絵美子、片桐祥雅
    • 学会等名
      HCGシンポジウム2018
  • [学会発表] ヒューリスティック認知を可能とする心象活性のスモールワールドモデル2018

    • 著者名/発表者名
      今井絵美子、片桐祥雅
    • 学会等名
      第21回日本ヒト脳機能マッピング学会
  • [学会発表] Traumatic events of cancer patients that lead to nurses’ compassion fatigue2018

    • 著者名/発表者名
      Fukumori Takaki, Miyazaki Atsuko, Takaba Chihiro, Taniguchi Saki, Asai
    • 学会等名
      The 20th World Congress of Psycho-Oncology and Psychosocial Academy
    • 国際学会
  • [図書] あいまいな喪失と家族のレジリエンス~災害支援の新しいアプローチ~2019

    • 著者名/発表者名
      黒川雅代子、石井千賀子、中島聡美、瀬藤乃理子
    • 総ページ数
      163
    • 出版者
      誠信書房
    • ISBN
      978-4414416510

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公開日: 2019-12-27  

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