研究課題/領域番号 |
16K04410
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
山本 文枝 安田女子大学, 心理学部, 准教授 (40369161)
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研究分担者 |
船津 守久 安田女子大学, 心理学部, 教授 (40117049)
後藤 まゆみ (西まゆみ) 安田女子大学, 心理学部, 准教授 (60218104)
藤沢 敏幸 安田女子大学, 心理学部, 教授 (70351997)
藤田 依久子 安田女子大学, 心理学部, 准教授 (40571972)
西川 京子 福山平成大学, 福祉健康学部, 准教授 (70517028)
西川 宏子 (西川ひろ子) 安田女子大学, 教育学部, 教授 (00284133)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大学生 / 自己概念 / 自閉症スペクトラム / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
自閉症スペクトラムに代表される社会性の発達障がいのグレーゾーンにいる大学生は支援につながりにくいことから、大学教育の中でコミュニケーション能力を育成する支援のためのカリキュラムを開発することを目的として研究を行っている。カリキュラムの開発においては、発達障がいによる二次障害の発症にかかわる問題に配慮し、コミュニケーション・スキルの向上及び行動の変化に加え、自己概念の肯定的変化をねらいとしている。さらに、発達障がい者のみならず全ての大学生の自尊心や自己肯定感を高め、社会に出るための意欲向上や自信の獲得につなげることもねらいとしている。 当該年度においては、主としてホームルーム形式のクラス単位で行うカリキュラム内容の検討を行った。主に、他者理解・自己理解・コミュニケーション力・チームワーク力の向上を目的とした構成的グループエンカウンターなど教育現場で行われているプログラムをもとにグループワークを構成し試行的に実施した。グループワークは段階的に人数を増やしていく(2人から5人へ)構成とした。研究者らが担当する複数のホームルーム形式で行う授業(1クラス約45~60名)15回のうち5回分の一部を用いて約15~20分のグループワークを実施した。他大学においては、心理学専門教員が行う授業において実施してもらった。毎グループワーク実施後に大学生に「ふりかえりシート」に記入してもらい、コミュニケーション・スキル、自己肯定感、自己概念の変化については、1回目の前と5回目の後で質問紙を実施した。これらのデータとあわせて、自閉症スペクトラム指数との関連で分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度では、主にホームルーム形式の授業をもとに作成したグループワークを実施し検討を行った。これらの授業は演習授業形態であった。これまで教育現場で行われてきた内容もとづいたもので、結果としてコミュニケーション・スキルの向上は認められても、必ずしも自己概念の肯定的変化に影響を与えるものではない内容のものもあった。よって、内容についてさらに検討する必要が生じている。 また、大学で行われる授業の大半は講義形式であることから、演習形式の授業だけでなく、大人数の講義形式で実施する方法についても検討する必要が生じている。大学教員が特別な授業運営技術がなくとも実施可能な方法の検討である。そのために、分野問わず幅広い専門分野の大学教員に協力してもらう必要が生じている。さらには、大学教員の発達障がいの学生に対する知識啓発、意識向上について、より実態を把握し検討をはかる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当該年度で実施したカリキュラムの内容について問題点を精査し改善を行う。そのために、グループワークを実施しているときの大学生の会話を360度全天周カメラ等で記録し、プロトコル分析を行い問題点をさぐる。また、授業の実施形態の違いによる効果の検証と、方法そのものの汎用性の検証を行う。そのために、調査協力が可能な大学教員を募集しカリキュラム実施の協力を要請する、また他学科、他大学に実施を依頼するなどを通して幅広いデータの収集を行う。最終的には大学生のコミュニケーション能力を育成するための臨床心理学の視点によるカリキュラムを提案し、実際に授業のサイドブックとして活用できる大学生および教員向けマニュアルを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の計画の一つであった心理検査を用いた観察調査の実施を変更した。よって、心理検査用具購入のための予算額を来年度の実験的に行う調査に活用することとした。具体的には、グループワークに参加している大学生の会話における言語・非言語の実態を360度全天周カメラ等で記録し分析を行う。また、カリキュラムの汎用性の検証のため、他大学との連携のための旅費および調査費用として用いる計画をしている。また、さらに詳細な大学教員の意識調査を行うことも検討している。
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