研究課題/領域番号 |
16K04411
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
松本 優花里 (橋本優花里) 長崎県立大学, 地域創造学部, 教授 (70346469)
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研究分担者 |
徐 丙鉄 近畿大学, 工学部, 教授 (30196993)
野寺 綾 福山大学, 人間文化学部, 准教授 (50709748)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オーセンティックリハビリテーション / 認知リハビリテーション / ゲーミフィケーション / 高次脳機能障害 / 動機づけ |
研究実績の概要 |
本研究では,研究1として亜急性期の認知機能回復訓練時の動機づけ向上を目指した手法の開発,研究2として回復期以降の代償手段獲得訓練時の動機づけ向上を目指した手法の開発,研究3として研究1 に基づいたPC による認知課題訓練の開発という3つの内容を進めている。 平成29年度は、研究1および2において,H28年度の調査研究から得られた動機づけ面接に着目し、その技法を取り入れた課題作成について検討する予定であったが、近年のリハビリテーション課題について資料収集を行い、検討を重ねた結果、ゲーミフィケーションの要素の取入れやより日常生活に即したオーセンティックなリハビリテーション課題の作成、あるいは患者の自己選択性が高い課題を作成することが望ましいという結論に至った。そこで、研究3として患者の好みをふまえた日常的な刺激をアップロードすることで、その患者に合った刺激を提示できる注意訓練課題を作成した。今後は、この課題を臨床現場において試行していく。また,患者の課題遂行を支える自己調整力については、文献検索を行い、その内容を整理した結果、高等教育において用いられるメタ認知の向上をふまえたワークシートが有効であることが明らかとなり、現在、その内容について精査しているところである。さらに、評価課題においても日常生活状況に近いものを作成するべく、欧米で利用されている日常注意検査(Test of Everyday Attention (TEA))を購入し、その内容について分析するとともに、新しい注意機能の評価課題の作成について検討を始めた。 昨年度より検討している神経科学的なアプローチによる気質検査の日本語版STQ77については、翻訳を終え、健常者でのデータ取得を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の予定では、動機づけを低下の要因を質問紙調査から探り、それらをもとにその向上を目指す手法を開発するとしていたが、研究を進めるに従い、内的な要因としては自己選択性や自己調整力の獲得が、外的な要因としてはゲーミフィケーションの要素が重要であることが分かってきた。調査研究の結果ではないものの、従来の研究や異分野の先行研究の知見を掘り起こすことで、リハビリテーションにおける動機づけ向上の方法を具体的に示すことができてきている。また、これからの結果に基づいて、動機づけ向上のしかけをふまえた課題も作成できており、研究の目的は達成されつつあると考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究分担者との毎月1回のミーティングを継続し、各分担者がそれぞれの役割を以下のように果たしていく。 橋本:TEAの分析および日常生活に即したPCによる注意検査作成の継続 野寺:自己調整力向上の手法に関する検討 徐:リハビリテーションへの動機づけを高め維持する課題開発の継続 また、今回は研究の最終年度にあたることから、本研究で得た動機づけを高める認知リハビリテーションの手法についての展望をまとめるとともに、作成した課題の成果について国内外の学会での発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度も大学業務の兼ね合いから、HPの更新や海外学会出張による情報収集等が困難であったため。
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