研究課題/領域番号 |
16K04413
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
臨床心理学
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研究機関 | 沖縄大学 |
研究代表者 |
吉川 麻衣子 沖縄大学, 人文学部, 教授 (80612796)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 見える物語綴り法 / 戦争体験 / 沖縄戦 / 共創 / ナラティヴ / 物語 / 高齢者 / 地域心理臨床 |
研究成果の概要 |
沖縄戦の終焉から75年が経過してもなお,心奥に苦悩を抱える人びとがいる。彼らの中には人生の想い出(体験や感懐)を見える形で遺すことを望む人びとがいた。彼らのニーズから生まれた「見える物語綴り法」は,語りの内容からイメージされる視覚媒体(映像,写真,絵,パンフレットなど)を語りと併用する方法である。 高齢者福祉施設においても,視覚媒体を介在させると人びとの語りが深まり,対話が促進され,心理的な安定がもたらされた。個々のペースで軌跡を辿り,見える形で人生を語り遺そうとする本実践は,高齢者心理臨床での適用が可能だと考えられる。ただし,効率化が求められる現場での適用には更なる方法論の検討が必要である。
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自由記述の分野 |
臨床心理学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
20余年,沖縄戦体験者との研究を続けてきた。最期に遺したいことは何か。その問いへの考え方は多様である。「見える物語綴り法」で重視されるのは,語り手個々のニーズとペースである。そのため,標準化は難しい方法だと思われる。しかし,語り手が求める視覚媒体を共に探し考える対話のプロセスは,人生の統合作業そのものであった。昨今,他の研究分野やメディアにおいて戦争体験者への聴き取りが盛んになっている。研究者主導の「いつ,どこで,何が」と正確な事実を追究する調査ではなく,自発的な語りを尊重して体験と感懐を丁寧に聴き受ける本実践の知見が活かされることを期待している。
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