研究実績の概要 |
本課題の最終年度は,研究成果の論文発表とその成果に続くさらなる実験を行った。 論文発表 再認におけるグローバル環境的文脈依存効果について,2012年に場所文脈の実験成果を発表していた。ここでは,場所文脈依存再認は符号化特殊性原理とアウトシャイン原理を組み合わせることで説明できることを示した(アウトシャイン説)。それに続いて,匂いとBGMというグローバル環境的文脈も,アウトシャイン説で説明できることを実証した。さらに,場所,匂い,BGMが項目手がかり強度にともなって,文脈依存再認の効果サイズが減少することを,回帰分析で示した(Adjusted R2 = .903)。さらに,いずれのグローバル環境的文脈もmirror effectを示した。これらの成果を,当時Impact Factor が5.0を超えていたJournal of Memory and Language に投稿し,採択された(Isarida, Isarida, Kubota, Nishimura, Fukasawa, & Thakahashi, 2018a)。つづいて,局所的環境的文脈依存再認に関する成果を,再びJournal of Memory and Language に投稿し,わずか3ヶ月半で採択された(Isarida, Isarida, Kubota, Higuma, & Matsuda, 2018b)。局所的環境的文脈依存再認は,文脈負荷(1文脈あたりに連合する項目数)が小さいときは符号化特殊性原理にもとづいて生じ,文脈負荷が大きくなると熟知性判断にもとづいて生じることを実証した。なお,mirror effectは生じなかった。 その後,局所的環境的文脈とグローバル環境的文脈の両方の特性を示しうるビデオ文脈依存再認について,実験を続けている。現在国際誌への論文投稿の準備を行っている。
|