刻印付けは生得的なバイアスを基盤とした初期学習であり、人間の発達期の記憶や言語獲得などの臨界期をもつ学習メカニズム解明の基盤となる。さらに発達初期の経験(発育環境)が潜在的に成熟後の行動に影響を与えるメカニズムの解明は社会性の発達などヒトの豊かな育成という側面の基礎的な知見が得られる。 本研究の成果は初期学習の獲得と固定化のプロセスがある程度並行的に処理されており、新奇刺激による干渉効果も訓練刺激への偏好を強く抑制するものではなく、刺激それぞれに対する処理が進んでいくメカニズムを示唆している。これらの結果はより一般的な短期記憶から長期記憶への並行処理のメカニズムの理解にも役立つと考えられる。
|