研究課題
本研究は幼児期から学童期にかけて発達する読み書きの学習方法について研究するものである。特に、発達障害など通常の学級で学習に困難が生じる子どもの学力を向上させるために、読み書きの発達過程をふまえた体系的な学習指導プログラム(基礎・基本)と言語活動プログラム(活用・応用)を開発することを目的とした。研究初年度である平成28年度は、心理・生理学的側面からの「読み書き」困難の分析・解明と、教育方法学的側面からの「読み・書き」指導の原則について検討した。心理・生理学的側面からの研究では、ひらがなと漢字の読み書き発達における規定因や読み書き発達における形態素の認識の役割を検討した。その結果、WISC等の心理検査を含む調査の結果、ひらがなの規定因は文字と音の対応関係の一貫性が高い言語に近く、漢字の規定因は中国語に近いことや、日本語のひらがなと漢字の読み書き発達において形態素の認識が重要な役割を果たしていることが示唆された。また、教育方法学的側面からの研究では、幼稚園教育要領と小学校国語学習指導要領の連続性および共通性について分析を行った。その結果、言葉に関する幼児期の「遊び」と小学校国語における言語活動には共通したものがあることが明らかになり、遊びの要素を取り入れて小学校の国語を展開することが連続的な学びになることが示唆された。平成29年度以降、以上のような心理・生理学および教育方法学の知見を融合し、幼小連携カリキュラムの具体化を進めていきたいと考える。
2: おおむね順調に進展している
通常学級での学習で困難を生じる子どもの学力向上の手だてとなるよう、基礎・基本の習得に関わる読み書きの発達過程をふまえた体系的な学習指導プログラムと、活用・応用に関わる言語活動プログラムの開発を目的として研究を行っている。研究初年度である平成28年度は、心理・生理学的側面からの「読み書き」困難の分析・解明と、教育方法学的側面からの「読み・書き」指導の原則について検討することができ、次年度以降に予定していた、具体的な幼小連携カリキュラムの開発研究に着手できることになったからである。
心理・生理学的側面からの研究と教育方法学的側面からの研究、および言葉に関する幼児期の「遊び」と小学校国語における言語活動の分析から得た知見をもとに、幼児が主体的に関わることができるよう、「遊び」の要素を取り入れた、読み書き学習のカリキュラム開発研究を進める。
書くことに関する教材開発、作成に関わる費用が当初予算より低く押さえることができた。
次年度の読み書きカリキュラムの開発研究における教材印刷や成果分析の謝金に使用する。
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茨城の国語教育
巻: 15 ページ: 38-45