研究課題/領域番号 |
16K04452
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
齋木 久美 茨城大学, 教育学部, 教授 (60361284)
|
研究分担者 |
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 教授 (30302318)
新井 英靖 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30332547)
細川 美由紀 茨城大学, 教育学部, 准教授 (70434537)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | カリキュラム論 / 読み書き指導 / 幼小連携 |
研究実績の概要 |
小学校4・6年生を対象に漢字の読み書きならびにローマ字読みの習得とその背景要因に関する調査から,漢字の読み書きには語彙能力や形態素意識に関する能力が,ローマ字読みに関しては音韻処理能力が関与することを明らかにした。いずれの能力も幼児期ならびに小学校低学年の段階から習得が始まることが予想されるため,この段階における支援が必要である。 幼児期の書字に対する関わりは自己流であり,自己流のまま定着し,小学校での書字学習が開始されているのが実情で,筆記具の持ち方など、ぎこちなさに着目する必要がある。 そこで,幼児期におけるぎこちなさが書字に及ぼす影響について実態調査を行ったところ、運動のぎこちなさが運筆技能と一定程度関与していることが明らかとなった。さらに,運動のぎこちなさが顕著に現れる知的障害(ダウン症)においても運筆技能の特徴をデジタルペンにより調査した。その結果,なぞり学習で効果を得ることができる児童がいる一方で,視写の方が運筆コントロールを意識できる児童もおり,個々の運筆特性を十分把握した上で教材を吟味する必要があると考えられた。その他,幼児期における聞こえの特徴に関する発達科学的研究もあわせて実施した。 また,幼小連携カリキュラムの構築に向けて,絵本と小学校1年生の教材の連続性について検討し,読みの力を向上するための指導方法について考察し,幼児期から小学校教育へと「読み」の力を高めていくためには,家庭での読書環境などにも着目する必要があることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幼児期から学童期にかけての読み書きに関する実態を調査し,読み書きに関する処理能力に関する検討を行った。また書字に困難さを抱える要因として,運動のぎこちなさがあり,発達研究とその対応策の検討を行った。これらの成果を指導実践カリキュラムを構築するための理論にまとめるための研究を進め,指導方法の検討も進めることができ,研究の進捗状況は,おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
研究最終年度には,研究成果をもとに幼児期から小学校にかけて、読み書きに関する指導のポイントと留意点を記した解説書を作成する。
「読み書き教材」を作成するためには,発達や書字に関する運動技能の取得など個々の実態をふまえることが必要である。調査研究によって得られた基礎データ等をふまえ,幼児期から学童期にかけての連続的かつ体系的な指導を実践するための方法を提案する。 学校や家庭で楽しく読み書きの表現活動を展開することができるよう教材例や指導事例も紹介し,教員経験の浅い新任教師や保育士等であっても比較的容易に指導時の配慮点を学ぶことができるようにし、教育現場で汎用性の高い解説書の作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
効率よく予算を消化することができ,繰越金が発生した。この繰り越し金は、読み書きに関する指導のポイントと留意点を記した解説書の増刷に充てる。 最終年度には、上記のように、幼児期から学童期にかけての読み書きに関する教材作成のための考え方や教材例をまとめ、現場の教員向けの解説書を作成するが、この冊子媒体の作成に費用がかかるので、繰り越し金を充当する。
|