研究課題
本研究では、宇都宮大学教育学部の卒業生調査より、教員養成学部での学びと卒業後の教員としての力との関係について、次のことがわかった。①大学時代、知識よりも考え方を学ぼうとしたり、学んだことをどう応用できるかを意識して学ぶなど、自主的に学ぶ姿勢を持って学んでいた人はそうでない人に比べ、教師になった後で、情報収集・授業での実践・振り返り・理論化、というサイクルを通じて、より広く深い学びを行っており、その結果、教師としての力を高めていること。②ただし1975年以前に入学した者については、①のような自主的に学ぶ意識よりも、授業で与えられた課題にまじめに取り組む姿勢のほうが、教師としての力量をつけていく上でより重要であった。それ以降そのような、大学でまじめに学ぶという姿勢は教師になってからの力に影響を及ぼしていない。こうしたことから、今後の教員養成カリキュラムの開発においては、 考え方を学ぶという態度の養成という、一種のメタ学習が求められることがわかった。また、大学での学びやその役立ち感については、時期によって大きく変動しており、その変化の背景には、学生の学びの姿勢(より楽に単位をとりたい/まじめに授業に取り組みたい)が見られた。まじめに勉強する者のほうが学んだ実感が得られる、もしくは逆にそうした実感のあるものが熱心に学ぶのだと考えられる。近年のそうした学びの態度の背景に教員採用数の増減も関係していた。具体的な学びとしては、授業を通じて「関心が深まったり」「理解が深まったり」した場合、また卒論に打ち込むことで、カリキュラム全体の役立ち感を高めていた。また学びのパタンとして、良い成績をとることの意味づけや自主的に学ぶ者の性格が1970年代以前と以降で変わったこともわかった。
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宇都宮大学教育学部教育実践紀要
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