研究課題/領域番号 |
16K04458
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
五島 譲司 新潟大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (90360205)
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研究分担者 |
津田 純子 新潟大学, 教育・学生支援機構, 教育支援員 (90345520)
美馬 秀樹 東京大学, 大学総合教育研究センター, 准教授 (30359658)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 履修支援 / 自律的学習 / 履修計画支援プログラム / 履修計画支援ツール / カリキュラムの構造化・可視化 / 学生アンケート調査 |
研究実績の概要 |
学生の履修科目選択に関する調査は、予備調査(平成28年7月~8月)と本調査(平成28年11月~12月)の2段階で実施した。予備調査は、新潟大学の履修アドバイザーの経験者13名を対象に、これまで新入生にアドバイスしてきた経験や、自身の履修科目の選択状況を振り返ってもらった。本調査では、予備調査の結果を踏まえ、アンケートの項目や回答形式を精査し、履修登録の際に一番困ったことや、どのような情報があったらよいのかをより簡潔に尋ねる形に改めた上で、主に学部1年次生を対象に実施し、新潟大学では全ての学部をカバーする695名、東京大学や芝浦工業大学ではそれぞれ100名前後の学部1年生から回答を得た。本調査の回答傾向は予備調査のそれと概ね同様であり、目標達成型の学習計画が立案できているとはいえない実態が明らかとなった。この成果は大学教育研究フォーラムにおいて発表した。
また、学生に自分の知的関心に基づいた履修計画づくりに取り組んでもらうことを意図し、カリキュラムの全体像を可視化・構造化するアプリケーションを構築して履修計画支援システムにリンクさせている芝浦工業大学や、ドイツのミュンヘン工科大学等の事例について訪問調査を実施し、本研究で開発をめざす履修計画支援ツールの仕様検討の参考とした。
先述の学生調査結果を踏まえ、新入生の学びの意識を転換し、自らの知的関心に基づいた科目履修を促すことが重要であると考えられるため、新学期の履修登録時期に新入生に対して履修相談を行っている生協学生委員会の学生を対象にしたワークショップを実施した。このワークショップでは、大学での学びのあり方や学生調査結果の概要を解説するとともに、履修計画支援ツールを使った履修サポートの可能性について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要で示したように、平成28年度は、学生の履修科目選択に関する調査や履修支援に関わる教育システムの調査、履修支援ツールの仕様検討を着実に実施した。さらに、当初は予定していなかった履修計画ワークショップの試行を行うことで、履修支援に関わる現状と問題点をより明らかにすることができた。
これは、予備調査の結果を踏まえて本調査の内容や対象を変更したり、履修相談の機会を捉えて事前にワークショップを開催したりするなど、日々の情報収集に努め、学生の履修登録(支援)の実態に応じて研究を機動的に進めることができたためである。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に実施した学生の履修科目選択に関するアンケート調査で明らかになった傾向を踏まえ、平成29年度は、入学生が大学での学習の意義に気づいて先輩の支援を受けつつ履修計画を立案する履修オリエンテーションプログラムについて構想を練り、試行的に開発することをめざす。そのため、新潟大学の主専攻プログラムを対象とした、履修支援の現状やシラバスの活用状況に関する調査を実施するとともに、履修科目を主体的に選択できる履修支援ツールの試作版を作成する。
主専攻プログラムへの調査で得られる結果は、各学部で実施される新入生ガイダンスや各学期に実施される各種ガイダンスの実施状況等の情報も収集・加味することにより、履修支援オリエンテーションプログラム検討時の有益な基礎資料とする。
なお、平成29年度以降も、教育プログラムの履修支援に関わる状況等、実情に応じて研究を柔軟に展開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費については、スケジュール調整等により効率的な出張日程を組み、他の経費と合算することができた。また、その他費目についても、平成28年度の進捗状況を踏まえ、翌年度以降に執行した方がより適切であると判断した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度も引き続き、研究計画の進捗に合わせて、予算を効率的に執行する。平成28年度からの繰越分も有効活用することで、平成29年度に計画している各部局主専攻プログラムにおける履修支援体制についての現状調査や履修計画支援ツールの開発・試行等を強力に遂行し、履修支援プログラムの検討を一層推進する。
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