研究課題/領域番号 |
16K04458
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
五島 譲司 新潟大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (90360205)
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研究分担者 |
津田 純子 新潟大学, 教育・学生支援機構, 名誉教授 (90345520)
美馬 秀樹 東京大学, 大学総合教育研究センター, 准教授 (30359658)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 履修計画支援 / 自律的学修 / カリキュラムの構造化・可視化 / 学修PDCA |
研究実績の概要 |
平成29年度は、平成28年度に実施した履修登録に関する学生アンケート調査結果を詳細に分析した結果や、履修相談の経験のある学生を対象に行った履修支援ワークショップから得られた知見を参考に、学生が自律的に学修計画をつくることを支援する段階的な支援プログラムを構想した。
履修登録に関する学生アンケート調査結果は、1年生を中心に、新潟大学の学部横断的な8つの授業で695名、東京大学の教養部(文科・理科混成)の1つの授業で133名、芝浦工業大学のシステム理工学部電子情報システム科のスタディスキルズの1授業で84名から回答を得た。3つの大学に共通して、将来展望を持てない学生は学修の動機が明確ではなく、自ら積極的に行動することができていない可能性が明らかになったことから、将来展望をもてるようにする機会が重要で、そのためにも従来よりきめ細やかな履修支援が必要であることが示唆された。 また、新年度の初めに新入生に履修相談を行っている学部生14名を対象に実施したワークショップでの議論やアンケートの回答からは、まずやはり、新入生が大学で学ぶことの意味や意義について認識させ、新入生の学びの意識を転換させるための機会を設けることの重要性や必要性が明らかになった。なお、ワークショップで行ったような履修計画づくり(時間割作成)は入学したばかりの新入生には難しく、むしろ学年が上がったほうが活用しやすい可能性があることも窺えた。
以上のような現状やニーズを踏まえ、履修登録の要領や手順などを理解するだけでなく、自分の進路や興味関心、将来のイメージに応じた学修プランを考えるなど、主体性のある履修計画づくりができるよう支援したり、ある程度学修が進んだ段階で、それまでの学びを既存の様々なツールも使いながら多面的に振り返り、その後の学修計画を組み立てるようサポートしたりする、段階的な支援プログラムを構想するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、履修支援ツールの仕様を確定して開発に着手するとともに、新潟大学主専攻プログラムの履修支援の現状に関するアンケート調査結果も参考にしつつ、履修支援プログラムの構想を検討し、プログラムの試行計画を練ることを計画していた。以下の理由により、総合的にみて、おおむね順調に進展していると考えられる。
最大の目的である履修支援プログラムについては、自律的な学修計画作成を可能とする段階的な支援プログラムを構想することができた。 履修登録支援(主に入学時)では、単位や進級/卒業の要件、4年間の流れ、履修登録の要領、手順、注意点などを解説し、学生自身が履修登録を滞りなく行えることに重点を置いたガイダンスを行う。履修計画支援(学期途中~次学期履修登録前)では、自分の進路や興味関心、将来のイメージに応じた学修プランを考えるなど、主体性のある履修計画づくりができるようなサポートを行う。学修計画づくり支援(学期途中~継続的実施)では、ある程度学修が進んだ段階で、それまでの学びを既存の様々なツールも使いつつ多面的に振り返り、その後の学修計画を組み立てるようなサポートを行う。
履修支援ツールについては、プロトタイプとなる授業カタログの項目を新潟大学のシラバス項目に対応させて使い勝手を向上させるとともに、平成28年度に実施した履修登録に関する学生アンケート調査やワークショップの成果も踏まえ、履修支援プログラムにおいて基本的な操作方法や効果的な使用方法の解説・実習を充実させることとした。なお、当初、履修支援の現状について、主専攻プログラムを対象としたアンケートも実施する予定であったが、まずは学生調査の結果を詳細に分析して履修支援のニーズや課題を明確化するほうが有効であると判断した。今後は、履修支援プログラムの試行結果などの成果をもとに、主専攻プログラム担当教員へヒアリング調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、将来展望への契機を与えるサポートのあり方や履修計画支援ツールの活用法をさらに吟味するため、学習サポーター(TA)を対象とした履修支援ワークショップを試行する。プログラムの参加学生へヒアリングするとともに、見込まれる教育上の効果などについて、研究協力者や主専攻プログラム担当教員も交えて議論する。プログラムの改善や履修支援ツールの修正(調整)を行うことと並行して、効果の検証方法についても検討する。さらに、ワークショップの成果を踏まえ、在学生向けの履修計画支援プログラムの試行を予定している。
これらのワークショップやプログラムにより、学生の様々な状況に対応し、自律的に学修計画づくりができるようにすることをめざした段階的プログラム構想をより具体化するとともに、得られた成果や課題については、大学教育の関連学会(大学教育学会や初年次教育学会など)で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費、旅費、謝金等について、適宜、他経費との合算などにより、効率的に執行した。 履修支援ツールは、現在、試行サイト上に展開しているが、今後、新潟大学部局Webサーバなどの共通サービスを利用することも検討しており、費用対効果が高い形で、次年度以降に執行する予定である。
平成30年度以降も、履修計画支援プログラムの試行実施、履修支援ツールの試用・改善、主専攻プログラムにおける履修支援実施状況調査など、研究の進捗状況に応じて予算を効率的かつ効果的に執行し、履修支援プログラムの検討を一層進める。
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