研究課題/領域番号 |
16K04472
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
鈴木 幹雄 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70163003)
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研究分担者 |
阿部 守 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60167947)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 芸術アカデミー改革 / 発想法教育学 / バウハウス / シュトゥットガルト芸術アカデミー / 改革的伝統 / アドルフ・ヘルツェル / ヘルツェル学派 / 西南ドイツ |
研究実績の概要 |
本共同科研の初年度調査・研究活動は次の通りであった。 Ⅰ. 現地調査・資料調査:鈴木幹雄の現地調査・研究活動は、シュトゥットガルト調査・ヘルツェル学派の調査が計画された。ただ、受入側のスペシャリストが急遽病気入院の為、次年度に先送りされ、スペシャリストから提供されたヘルツェル研究史リストに基づき、ヘルツェル研究書の予備整理、発注、主要研究書の翻訳・講読が進められた。また阿部 守の国内調査・研究は次の通り行われた。①東京教育大学構成専攻出身者、勝井三雄氏への構成教育導入期の調査インタビュー(2016.7.21、於東京都渋谷区)、②武蔵野美術大学図書館での資料調査実施(2016.9.8-9)他。 Ⅱ. 初年度研究成果は次の通りであった。鈴木幹雄:学会発表成果:①「シュトゥットガルトにおけるアドルフ・ヘルツェルと20世紀造形的構築性コンセプトの誕生」、第55回大学美術教育学会発表、2016.9.24。研究論文成果:①「苦難に生きた亡命ドイツ人芸術大学長達とその戦後遺産を再考する」神戸大学退官記念講演資料ブロシュー(2017.3.)、於神戸大学発達科学部、於B210)。、②「芸術教育の「フレクシブルな実践」と教員要請を支えるものードイツ芸術教育学が遺した遺産を再考するー」、美術科教育学会シンポジウム「2016年度リサーチフォーラムin Osaka, Japan2016.7.30」報告、2016.7.30。 阿部 守:研究論文成果:①「「LIFESTYLES展」in Hamburgを振り返って」(9人の作家によるハンブルクと日本の交流展記録集)への執筆、2017.1。表現活動成果:①展覧会「LIFESTYLES Kunst aus Fukuoka」出品(ハンブルクの地でバウハウスを思索しつつ展開した制作活動)2017.12、於ハンブルク市。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.研究計画では、次の三項目が主要研究課題として位置づけられた。 ①ヘルツェル学派の改革的伝統からイッテンのバウハウス教育学への展開過程、②バウハウス、イッテン・シューレ、クレーフェルト工芸学校におけるイッテンの教育実践と導入教育(学)の確立、③戦後改革的芸術大学にみる導入教育(学)受容と発想法教育学の波及効果。①、②は鈴木幹雄の主要研究課題に位置付けられ、③は阿部守、鈴木幹雄の主要研究課題に位置付けられている。 2.初年度(平成28年度)の研究成果は、本共同科研研究課題に向けて「華々しい全開」の成果とはなっていないが、同研究課題に向けての着実な「土台作り」となっており、第2年度、第3年度研究の足場となっている。ドイツ語圏における良質な研究書を見抜き、選択し、良質なアカデミックな研究書の成果を講読・翻訳し、我々の研究成果に統合することによって本共同科研テーマに即した研究を開花させることができるものと思われる。以上が、研究進捗状況評価の根拠。
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今後の研究の推進方策 |
Ⅰ. 海外、並びに国内文献調査・研究: 1)モティーフ:ヘルツェル学派における改革的伝統とイッテンによるバウハウス教育学の形成・展開過程…調査地域:シュトゥットガルト、ワイマール、ベルン。 2)モティーフ:イッテン・シューレ、クレーフェルト工芸学校におけるイッテンの教育実践と導入教育(学)の展開(担当:鈴木)…調査地域:ベルリン、クレーフェルト。 3)モティーフ:戦後改革的芸術大学にみる導入教育(学)受容と発想法教育学の波及効果(チューリッヒ工芸学校(現芸術大学)、ベルゲン建築大学)(担当:阿部 守)…調査地域:ベルゲン、チューリッヒ、ベルン。 Ⅱ. 文献に基づく分析・研究:テーマ・モティーフ・文献: 1)共通モティーフ:ヘルツェル学派における改革的伝統からイッテンのバウハウス教育学への展開過程(担当:鈴木幹雄(文献研究)、阿部 守(構成教育に関する実践的時代考証))。 2) モティーフ:バウハウス、イッテン・シューレ、クレーフェルト工芸学校におけるイッテンの教育実践と導入教育(学)の確立、主要資料:Johannes Itten, Der Unterricht, Ausstellungskatolog der Wanderausstellung 1973 bis 1977, o.J.. 3) モティーフ:戦後改革的芸術大学にみる導入教育(学)受容と発想法教育学の波及効果(ニュー・バウハウス、シュトゥットガルト芸術大学)(担当:鈴木)、主要資料: Rainer K. Wick, Johannes Itten. Kustpaedagogik als Erlebnispaedagogik ? Luneburg 1997. 4) モティーフ:戦後改革的芸術大学にみる導入教育(学)受容と発想法教育学の波及効果(チューリッヒ工芸学校、ベルゲン建築大学)(担当:阿部 守)。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の鈴木幹雄の現地調査・研究活動は、当初の研究計画では、シュトゥットガルト調査・ヘルツェル学派の調査が計画された。ただ、受入側のスペシャリストが急遽病気入院の為、次年度に先送りされ、平成28年度は、スペシャリストから提供されたヘルツェル研究史リストに基づき、ヘルツェル研究書の予備整理、発注、主要研究書の翻訳・講読が進められた。それ故、平成28年度の鈴木幹雄の現地調査・研究活動平成29年度に組み込み、統合して、或いは別個に行われることになっている。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度には、スペシャリストから送付されたヘルツェル研究史リストに基づき文献調査・研究が行われている為、本年度は、忙しくはなるが過重な負担らないものと想定される。ちなみに平成29年度、研究代表者、鈴木幹雄(記号:A)と、研究分担者、阿部守(記号:B)の研究課題を次の通りである。 課題1-A:モティーフ:ヘルツェル学派における改革的伝統とイッテンによるバウハウス教育学の形成・展開過程。/課題2-A:同上:イッテン・シューレ、クレーフェルト工芸学校におけるイッテンの教育実践と導入教育(学)の基礎研究(担当:鈴木)。/課題3-B:同上フ:戦後改革的芸術大学にみる導入教育(学)受容と発想法教育学の波及効果(チューリッヒ工芸学校ベルゲン建築大学)(担当:阿部 守、調査地域:ベルゲン、チューリッヒ、ベルン)。
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