本研究の目的は、地方経済と学習ニーズに注目しながら教育政策の地方に於ける受容過程について実証的に考察することである。具体的には第四高等中学校(第四高等学校の前身)を事例に、関連諸機関が所蔵する文書および北陸各地に散在する尋常中学校関連文書等の一次史料を用い、教育内容の分析と修学実態の分析を行うことを目指した。 研究期間を通じ、予定した福井県・富山県・新潟県・石川県の関連諸機関で収集した資料の整理・分析を実施した。福井県においては福井県文書館を調査し、県史編纂時に収集した新聞資料および同編纂当時に作成された資料目録のデータを利用することにより、1880年代の新聞に掲載された情報を整理することができた。富山県では富山県立図書館および富山県公文書館を調査し、『富山県教育会五十年史』ほか関連する文献に目を通した上で、1886年の『新潟県学事通報』や富山県教育会発行の『教育大会記録』(1906年)および『教育大会記録』(1914年)の複写による資料収集が実施できた。新潟県では新潟県立図書館および新潟県立文書館を利用し、新潟県史編纂関係者との面談を通じて資料状況の示唆を受けることができた。『長岡教育資料』(1917年)、『新潟新聞』1885~1888年の確認を実施できた。石川県では石川県立歴史博物館および金沢大学の四高関係文書を確認し、『寄宿舎当直記要』『舎務事件綴込』『第四高等中学校学友会雑誌』『十全会会誌』『学業成績簿』『職員履歴』等の重要資料の収集を実施できた。金沢大学、石川県立図書館および金沢市立玉川図書館にそれぞれ所蔵する『久徴館同窓会雑誌』1888~1893年も掌握できた。 以上で得た資料および知見をもとに、『月刊ニューズレター 現代の大学問題を視野に入れた教育史研究を求めて』、中国四国教育学会編『教育学研究紀要』、中等教育史研究会『中等教育史研究』に成果を報告した。
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