研究課題/領域番号 |
16K04479
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
白石 陽一 熊本大学, 教育学部, 准教授 (60187523)
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研究分担者 |
望月 一枝 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60431615)
山下 晃一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80324987)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | シティズンシップ / 市民 / ジェンダー / 学校改革 |
研究実績の概要 |
高校の教科外活動の着目したグローカルなアクティブ・シティズンシップ教育モデル開発の研究を行うために、平成28年度は、その基礎的な研究・文献研究と資料収集・論点整理、および先駆的な実践記録の収集・分析・評価、研究協力高校での実地研究・フィールドワークを行った。 おもな研究協議の機会としては、平成28年8月6・7・8日、全国高校生活指導研究協議会・全国大会(和光大学、和光高校、東京都町田市)、平成24年9月17・18日、高校生活指導研究協議会研究集会(キャンパスイノベーションセンター、東京都港区芝浦 )、平成28年12月3・4日、高校生活指導研究協議会全国フォーラム(大阪市立西区民センター、大阪市西区)を活用した。 研究代表者である白石陽一は、公教育におけるアクティブ・シティズンシップ教育の可能性、18歳選挙権と市民への教育、教科と教科外を往還する「総合的学び」の方法などについて教育方法学的観点から研究し、「ビジネスモデルとは異なる公教育の論理」「18歳選挙権を市民への教育」などの論文を作成し、『学びに取り組む教師』(共著)の書籍を刊行した。望月一枝は、アクティブ・シティズンシップやアクティブ・ラーニングを育む学校改革とジェンダー教育について、過去10年間の研究成果を『教師の声を聴く 教職のジェンダー研究からフェミニズム教育へ』(編著)として刊行した。また望月は「ジェンダーで見つめるシティズンシップ教育」の論文も作成している。山下晃一は、シティズンシップ教育とチーム学校、学校改革について教育行政学的観点から研究を進め、「『チーム学校』のポリティクスと連携・協力の在り方」、「教育と国家:統治構造の変容と教育行政学研究の課題」などの論文を作成し、また『教育の最新事情がよくわかる本 3』(共著)などの書籍を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究業績の概要に示した通り、白石陽一は、公教育におけるアクティブ・シティズンシップ教育の可能性、18歳選挙権と市民への教育などについて、望月一枝は、アクティブ・シティズンシップやアクティブ・ラーニングを育む学校改革とジェンダー教育について、山下晃一は、シティズンシップ教育とチーム学校・学校改革について、それぞれ数点の研究成果を発表していることからも明らかなように、本研究は順調に進展しているといってよい。とりわけ、望月たちが刊行した著書は、シティズンシップ教育とジェンダーについて10年来の実践研究の成果が蓄積されている。 したがって、初年度(平成28年度)の研究目標である「高校の教科外教育におけるアクティブ・シティズンシップ教育」に関する理論枠組みの析出、戦後日本の生徒会実践の成果研究、シティズンシップ教育に関する先進的な実践の情報収集については、順調に進展しているといえる。 また、上記の研究成果を土台にして、平成29年度の研究課題である先進的実践の分析、実践モデル仮説の提起、学会等での発表へとつなげることができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度については、研究協力校へのフィールドワーク・学校訪問、高校生のコミュニティーへの参加状況や地域の問題解決への参画に関する調査研究、チーム学校やアクティブ・シティズンシップ教育の先進校への調査研究などを行う。さらに、ここで収集した教育実践記録の分析と評価を行う。 熊本の地域文化創生の実践へのリサーチを継続的に行う。熊本における高校と地域の連携については、過去2年間「菊池川流域プロジェクト」への調査研究があるため、これを継続・発展させて、アクティブ・シティズンシップ教育のモデル化への端緒を獲得する。 また、神奈川、静岡、東京、茨城の高校における学校改革改革について、ジェンダーの視点や政治的判断力という観点が生かされていることを検証する。青森の三沢高校における三者協議会の成果については、オルターナティブスクールとアクティブシティズンシップの観点から整理して、全国生活指導研究協議会の全国大会(8月5・6・7日、静岡)で報告する。 学校改革、チーム学校、同僚性などの観点について、教育行政研究の成果やイギリス・アメリカの動向の比較研究などをふまえて、アクティブ・シティズンシップ教育の基底に位置づくものとして研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に経費の使用額に残額が生じた理由は、共同研究者・研究協力者のプロジェクト事業への参加(3名予定)が予定通りに進まなかったためである。研究協力者たちは熊本における地域と学校の連携事業へ参加、調査をする予定であったが、熊本地震のため、上記のプロジェクトが予定通り開催できなかった。そのために、熊本県外からの参加を呼びかけることができなかった。 また、同じく熊本地震の影響で、熊本の研究協力者が全国的な研究集会に参加することができなかったことも経費に残額が生じた理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、熊本から(研究代表者、研究協力者)が、過去3年間の実践研究の成果を整理して、全国の研究集会に参加して、報告・協議を行う予定である。また、熊本における高校と地域の連携事業・地域文化創生事業の調査・研究活動に関西・関東から研究協力者の参加を呼びかけて、研究協議を行う予定である。 したがって、平成29年度に繰り越された約16万円は、上記の旅費および会議費に充当する予定である。
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