最終年度はこれまでの研究成果の一部を日本高等教育学会で発表した。また、所属する大学の紀要論文にまとめ、報告した。 研究成果として、学士課程における体系的カリキュラムの構成要素は以下の2点であることを明らかにした。 第1に、科目間の接続関係の明確化である。特定の科目の設置ではなく、あくまで科目間の接続関係がどのようなものであるかを明示することが求められる。それは、例えば初年次と2年次というような学年を超える接続の場合もあれば、同一期に受講すべき科目間の関係性をも含む。つまり、単一の科目という「点」でも配当年次という縦の「線」だけでもなく、横の線をも含めた「面」としてカリキュラムを構築・可視化することである。 第2に、学習成果の評価を一定期間ごとに実施することを前提としたカリキュラムの構築である。通常、学習成果の評価は科目ごとに行われる。これに対し、一定期間ごとに行われることとしては、進級判定などが挙げられる。進級判定は単位の取得状況が主であり、単位の質までが問われるとは限らない。カリキュラムの体系性を担保するには、単位の質まで含め、当該カリキュラムを受講している学生の成長度を随時確認・評価する機会を持つ必要がある。 学士課程カリキュラムについては、体系性の担保が強く求められている。それに必要不可欠な要素として、科目間の関係性を面として可視化すること、カリキュラム全体を通じての学習成果を随時評価・検証することがあるということが、本研究により明らかにされた。これにより、どのような分野であれ、体系的な学士課程カリキュラムであるといえるかどうかを判断する際の指標が示されたことが本研究の成果であり、学際的な学部や学科のほか、学位プログラムが拡充する中で重要な意義を持つといえる。
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