研究課題/領域番号 |
16K04486
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
湯川 嘉津美 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (30156814)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 幼稚園令 / 幼稚園制度改革 / 幼稚園保姆養成制度 / 全日本保育聯盟 / 全国幼稚園関係者大会 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、第一に、幼稚園令制定後の幼稚園制度改革の動向について検討を行った。まず、保育界における幼稚園制度改革要求について、全日本保育聯盟および第8回全国幼稚園関係者大会の史料の分析を通して、文部省への建議内容を明らかにした。ついで、1939年から41年にかけて文部省でも幼稚園令改正案の作成がなされていたことを関係史料より明らかにし、戦時下における官民双方の幼稚園制度改革の動向を跡付けた。これらの検討から、戦時下に幼稚園令自体の改正はなされなかったものの、懸案事項であった保姆養成機関の整備・保姆養成方法の改善については、1943年3月の師範学校令改正において、師範学校女子生徒に対する保育実習の実施という形で一部実現をみたことが明らかになった(「戦時下における幼稚園制度改革の動向」日本保育学会第70回大会発表)。 第二に、これまで十分な検討がなされていない幼稚園保姆養成制度の成立に関する研究に着手した。明治10年代の東京女子師範学校における保姆養成については、史料的な制約から全く検討されていないが、小西信八の「幼稚園保育法」の講義録およびそのテキストである『幼稚園保育法』の2種の史料を発掘して内容の検討を行い、草創期の幼稚園保姆養成の実際とその性格を明らかにした(「草創期の幼稚園保姆養成-東京女子師範学校における『幼稚園保育法』の検討を中心に-」日本ペスタロッチー・フレーベル学会第35回大会発表)。 第三に、これまでに収集した史料をもとに、『近代日本幼児教育基本文献集』第Ⅰ期(全8巻、日本図書センター)を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画にしたがって研究を実施することができた。研究成果を日本保育学会、日本ペスタロッチー・フレーベル学会において発表し、研究論文にまとめた。同時に、本研究で発掘・収集した史料を『近代日本幼児教育基本文献集』に収録し、公開した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も関係史料の調査・収集を継続して行いながら、大正・昭和初期における幼稚園改革と保育学の構築の動き、幼稚園令後の幼稚園・託児所の動向について検討を行い、幼児教育制度の確立過程を明らかにする。 また、幼稚園保姆養成制度の成立に関する研究を引き続き実施し、それが幼児教育制度の確立にどのような役割を果たしたのか、明らかにする。
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