研究課題/領域番号 |
16K04487
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
佐久間 裕之 玉川大学, 教育学部, 教授 (70235208)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イエナ・プラン / 異年齢集団 / 教育共同体 / イエナ大学附属学校 |
研究実績の概要 |
平成28年度は予定通り、研究実施計画において挙げていた2つの課題、すなわち、1.ペーターゼンにおける「共同体」としての異年齢集団に関する文献研究(その1)と2.イエナ大学附属学校における「共同体」としての異年齢集団に関する原資料の研究(その1)に取り組んだ。前者の文献研究に関しては、ペーターゼンの所謂『小イエナ・プラン』を中心として文献研究を実施し、ペーターゼンの考える「教育共同体」思想が基幹集団の編成という意図的・人為的な措置を出発点としつつも、その集団内部に成員同士の自由で自発的な関わり合いが生じることを企図したものであることを把握した。また彼は「教育共同体」を「精神的共同体」と捉えており、この「精神」を生物的・人種的・社会的な属性からみた人間の中にではなく、人間そのものの中に芽生える内発的なものと捉えていたことも明らかになった。 次に、後者の原資料の研究に関しては、イエナ大学文書館、フェヒタの文書館、ミュンスター大学ペーターゼン文庫等での調査を実施し、特にイエナ大学文書館におけるイエナ大学附属学校に関する記録が「Bestand S. Abt. I.」というカテゴリーに位置づけられていることを把握した。そして今回の調査では、文書番号127~147を中心として、ペーターゼン以前のW.ライン時代に存在した訓練学校(Uebungsschule)からペーターゼン時代の附属学校(Universitaetsschule)への移行期に関する資料と、草創期、とりわけ1927年前後の異年齢集団に関する記録の入手を行った。草創期の附属学校の教師であったH. Wolff、A. Foertsch、R. Reigbertが残した記録文書の存在を把握するとともに、特に最初の教師となったH. Wolffが残した当時の学校生活の様子に関する記録の入手を重点的に行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究実施計画として挙げていた2つの研究課題のうち、1.ペーターゼンにおける「共同体」としての異年齢集団に関する文献研究(その1)については、その研究成果を「ペーターゼンにおける『教育共同体』思想の特質――『自由で一般的な国民学校のイエナ・プラン』に着目して」と題する研究論文にまとめることができた。2.イエナ大学附属学校における「共同体」としての異年齢集団に関する原資料の研究(その1)に関しては、イエナ大学文書館に保管されている原資料のうち、草創期の附属学校の教師たちが残した記録は手書きのものが大半で、大変読みにくいものであったが、特に最初の教師となったH. Wolffが残した記録文書から、当時の附属学校の生活を把握できたことは、今後の研究の進展にとって有意義であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の成果を踏まえて、平成29年度は、研究実施計画に記した2つの課題、すなわち、1.ペーターゼンにおける「共同体」としての異年齢集団に関する文献研究(その2)及び2.イエナ大学附属学校における「共同体」としての異年齢集団に関する原資料の研究(その2)を予定通り実施していく。その際、特に2に関しては、ペーターゼンの所謂『大イエナ・プラン』の記述内容の検証という視点で、イエナ大学文書館等に残されている原資料等の研究をさらに実施していく。
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