研究課題/領域番号 |
16K04492
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
佐野 正子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (80316778)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 女子高等教育 / エリザベス・ヒュース / 寛容思想 / コングリゲーショナリズム / ケンブリッジ大学 / オックスフォード大学 / キリスト教人格思想 |
研究実績の概要 |
研究の第一年次にあたる本年度は、本研究のうちエリザベス・ヒュースの日本の教育界に与えた影響の研究を進めた。国立国会図書館において、エリザベス・ヒュースの講演活動に関する第一次資料の文献収集を実施し、分析作業を進めた。その中間的成果として、日本キリスト教教育学会において「エリザベス・ヒュース(1851-1925)におけるキリスト教人格教育思想-日本での講演活動を中心に」と題する口頭発表を行った。 夏期には英国オックスフォード大学図書館への海外出張を実施し、エリザベス・ヒュースの英国での教育活動を調査し、彼女の講演原稿や著作など日本では入手不可能な貴重な文献を複写収集した。それを用いて、すでに行ったエリザベス・ヒュースに関する学会発表の内容を深めて論文にするための作業を進めた。さらにオックスフォード大学マンスフィールド・コレッジの研究協力者Tony Tucker牧師との研究会議を実施し、オックスフォード大学の女子コレッジの創立過程における神学的背景に関してアドバイスを受けた。またオックスフォード大学歴史学名誉教授のSir Brian Harrison教授と面会し、ケンブリッジ大学およびオックスフォード大学における女子コレッジ創立の歴史的背景に関して貴重な示唆を受けた。 また英国女子高等教育推進運動の思想的神学的背景として、教育の自由化の基盤となる寛容思想とコングリゲーショナリズムについて研究を進めた。日本イギリス哲学会における「近代寛容思想の射程とその意義」と題するシンポジウムより示唆を得つつ、平成29年6月に開催される日本ピューリタニズム学会研究大会の寛容思想に関するシンポジウムにおいて招待講師として発題することになっており、その原稿作成の作業を進めた。さらに日本におけるコングリゲーショナリズムの指導者である高倉徳太郎がオックスフォード大学留学中に受けた影響を論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エリザベス・ヒュースの日本の教育界に与えた影響に関しては、その中間的成果として、日本キリスト教教育学会において口頭発表を行い、さらに英国オックスフォード大学ボドレイアン図書館において、日本では入手不可能な貴重な文献を複写収集することができた。それらの資料を用いて、エリザベス・ヒュースの教育思想に関する研究論文作成の作業を順調に進めることができた。 また英国女子高等教育推進運動の思想的神学的背景に関して、オックスフォード大学の研究協力者により、思想的神学的および歴史的な観点から重要な示唆を得ることができた。女子高等教育推進運動の背景として、教育の自由化の基盤となる寛容思想とコングリゲーショナリズムについて研究を進めることができた。日本イギリス哲学会におけるシンポジウムから示唆を得つつ、平成29年6月に開催される日本ピューリタニズム学会研究大会の寛容思想に関するシンポジウムにおいて招待講師として発題予定の原稿の作成作業を順調に進めることができた。また日本におけるコングリゲーショナリズムの指導者である高倉徳太郎が英国オックスフォード大学留学中に受けた影響を調査し論文にまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の第2年次に向けては、英国および日本における女子高等教育に多大な影響を与えたエリザベス・ヒュースの教育思想に関する論文作成作業を進める。その中間的成果として研究論文を出版することを目指す。さらに日本の女子高等教育のパイオニアである安井てつや津田梅子の英国留学中に、エリザベス・ヒュースらから受けた教育思想の影響に関する調査に着手する。 他方女子高等教育推進運動の思想的背景として、英国の寛容思想に関して、日本ピューリタニズム学会研究大会のシンポジウムにおける招待講演の準備を進め、講演内容を研究論文として出版することを目指す。 以上の研究に関して、国内で入手が困難な必須参考文献の調査・分析のために、夏期に英国オックスフォード大学ボドレイアン図書館への海外出張を実施する予定である。
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