本研究は、「1947年以降の教育課程の基準と幼・小・中・高のモデル・カリキュラムに関する歴史的研究」である。その研究作業の第 1は、文部省実験学校の資料収集と整理をしたことである。第2には、それを素材に小学校と中学校の教育課程政策を分析して論文にまとめ、文部省実験学校の資料収集と整理分析をさらに進めることで、経験主義教育課程の学力観を追究した。それぞれの実験学校で目指している教育の根底にある学力論は、どのような系譜にあるのか、当時の学力論や根底にある思想を分析することで、それは 「形態心理学」(ゲシュタルト心理学)の理論によることを明らかにした。特に、2018年度は、学会としても研究蓄積の少ない新制中学校に絞り、『新制中学校カリキュラムの形成過程―コア・カリキュラムから総合カリキュラムへ―』(早稲田大学教職大学院紀要11号)にまとめることができた。また、学習指導要領改訂を受けて、『学習指導要領は国民形成の設計書』の最新版を、2018年に出版し、かつ、その英語版である編著:“Japanese Citizens Challenge New Learning under the Forth Industrial Revolution―Competency Oriented Revision of 2017&2018” Tohoku University Press. Sendai. 2019を刊行した。かつ、義務教育学会の求めに応じて、学習指導要領の今日的課題を提案し、これを「『教育の個別化』と『思慮深さ』育成の課題」 一般財団法人学校教育研究所 平成30年度学校教育研究所年報 第63号 2019年5月31日(刊行予定)にまとめた。全体として、ようやく経験主義カリキュラム時代の教育課程改革とその根底にある思想を把握することができた。
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