研究課題/領域番号 |
16K04501
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
本多 みどり 帝京科学大学, 教育人間科学部, 教授 (00342329)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イギリス / 教育史 / 中等教員養成 |
研究実績の概要 |
平成28年8月から9月にかけて渡英し、IOE(ロンドン大学教育研究院)の許可を得て同機関が所蔵しているCollege of Preceptors(COP)の議事録―1840年代から1900年代までのもの―をすべて撮影した。また、同所が所蔵する、イギリス初の教育教授ジョゼフ・ペインの著作集、およびペインの日記についても撮影を許可されたので、こちらも全ページの撮影を行った。COPが発行し、イギリス教育界の啓発に大いに貢献した「Educational Times」紙についても、上述年代の紙面をすべて撮影する予定であったが、同機関の司書によってデジタル化が行われているという示唆を得たため、IOEのデジタル・アーカイブスを確認して撮影は行わなかった。また、大英図書館においても史料(Educational Supplement等)の調査を行った。 つづいて、平成28年10月から平成29年1月にかけては収集した史料の整理を行い、作成する論考について構成などの計画立案等の作業を行った。「教育の科学」をキーワードとして、Educational Timesの紙面の分析を開始(1840年代から1870年代の紙面の確認する作業に着手した)。 平成29年2月には、広島大学教育学部教育学科図書館を訪ね、同図書館が所蔵している学校調査委員会(School Inquiry Commission)の報告書のうち、コミッショナー報告、同委員会が招へいした全てのWittnessの証言、各種の統計表を撮影した。論考については、タイトルを「19世紀イギリスにおける教育科学観に関する一考察(仮題)」として執筆を開始し現在に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時に招へいを予定していたケンブリッジ大学のPam Hirsh氏に日本での研究会での講演を打診したが、都合により2016年8月をもって同大を退職する為、日本を訪れることは不可能ということで、計画の変更が必要であることが判明したためである。現在、ハーシュ氏に代わる人選を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
論考をまとめる作業に着手する。「Educational Times」について、同紙が創刊された1846年から中等教員養成の近代化が進展し始める1870年代末までの、およそ30年間の記事に焦点を当てて分析を行う。特に、同紙における「教育の科学」に関する記事に着目し、COPに蝟集したミドルスクール(中産階級の子弟のための学校)の教師たちが、教育の科学という言葉を使い始めたのはいつか、彼らはどのような教育科学観を持っていたか、またその教育科学観がいかに変遷しているか(あるいはいないか)を分析する。この際、上記の作業と合わせて、昨年度IOEに参照を許されたCOP議事録を参照することによって、論考の執筆作業を行う予定である。8月から9月にかけて渡英し、史料調査(大英図書館)を再び行う予定である。また、イギリス在住の専門家と連絡を取り、平成30年度に日本において研究会を開催できるよう手配・調整を行う予定である。 年度後半において論考の執筆作業をさらに進める。西九州大学の香川せつ子教授(イギリス女性教育史の専門家)を訪ね、氏の専門的立場からの参考意見と示唆を求める。大英図書館で入手した史料(COPによって選出されたイギリス初の教育の教授、ペインと、COPの中心的メンバーのひとり、レイクによって行われた教育科学観をめぐる論争に関する史料)を合わせ参照して、上述の内容について考察を加えた論考、「19世紀イギリスにおける教育科学観に関する一考察(仮題)」の執筆をほぼ完了させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究会への招へいを予定していた人物の早期退職という思わぬ事態が起き、予定していた謝金等の使用ができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度、および30年度において新しい人選を行い、同氏に対する旅費、宿泊費、謝金等として使用する予定である。
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