研究実績の概要 |
2016年度は、現代イギリスの主要試験団体であるEdexel,QCR,AQAの歴史的起源について、それぞれ、ロンドン大学試験委員会、オックスフォード・ケンブリッジ大学の地方試験委員会、合同入学登録試験委員会に関する基本文献の収集を行い、各試験機関の歴史的起源について明らかにした。また、1899年に設置された教育諮問委員会報告書を資料として、これら試験の問題点について詳細に検討した。 2017年度は、中等学校と大学との連携について明らかにした。第一に、ロンドン大学中等教育委員会とRoan SchoolおよびNorth London Collegiate Schoolの2校の連携について、ロンドン公文書館等で資料調査を実施した。第二に、市民大学であるバーミンガムを事例として、学士課程の質保証システムとの関連から、入学登録試験の合格率、学位取得者数の割合、学士課程の予備教育課程の実態を分析し教育史学会において発表した。また、教育と職業との接続について、日英比較を行うために、日本の教育社会学研究者と研究会を行った。 2018年度は、西日本豪雨災害により研究棟が被災し研究活動に支障が生じ、2019年度まで期間を延長した。しかしながら、12月にロンドン大学国際教育史研究センターのマカロック教授を招聘し‘Curriculum and Examinations in English Secondary Schools, 1914-1944’というテーマで広島にて研究会を実施した。 2019年度は伝記資料に関する基礎文献を入手し、中等学校試験を受験した階層の質的調査に着手した。また、ケンブリッジ大学ワッツ博士より助言を受け、20世紀以降の中等教育の方向性に影響を与えたブライス委員会報告書に着目し、イングランド初の全国統一試験である中等学校修了資格試験(SCE)について明らかにした。
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