研究課題/領域番号 |
16K04522
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宋 美蘭 北海道大学, 教育学研究院, 非常勤研究員 (70528314)
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研究分担者 |
河野 和枝 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (00438350)
若原 幸範 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 准教授 (80609959)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 多様な学びの保障 / 代案学校 / 都市型代案学校 / 農村型代案学校 / フリースクール / もうひとつの学校 / 学びの共同・協同 / 生き方を支える学びのあり方 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,学校制度の周縁や外側に位置している,代案学校(韓国),フリースクール(日本)を対象に,子どもたちの生き方を支える「新しいカリキュラム」の可能性について,日韓比較調査を行い,学びを保障する包摂的な教育基盤構築に必要な原理・条件,またそれを可能とする教育実践のあり方について今後の展望を得ようとするものである。 本科研の初年度である2016年では、共同研究者とともに、日韓の先行文献の検討及び今後の調査計画・方法などの打ち合わせを北大にて数回行い、実際に、韓国の代案学校と日本・北海道のフリースクールの調査を複数回実施した。韓国の調査では4つの類型別の多様な種別の代案学校を調査することができた。調査の結果、これらの学校が目指している「教育像」や「学校像」を仮説的であるけれども明らかにすることができた。それは、学歴認可・非認可問わず、「新しい学びの共同・協同の生成型」を基盤に「適性技術指向型」に繋げて、両者を統合した実践が展開されていることが垣間見れた。さらには、「新しい学びの共同・協同の生成型」に基底に、「教育福祉志向型」と「適性技術志向型」まで統合させ、複合的な学びへと展開することが明らかになった。こうした展開は、今後の子どもたちの生き方全般に関わる新しい学びへの実験的な挑戦であることが見て取れた。一方、日本の調査では、韓国の調査ほど多くの学校を調査することができなかったが、学校制度の周縁や外側に位置している、北海道自由が丘学園、北星学園余市高等学校を調査することができた。これらの学校は、特に子どもの内的な経験を最も重視しながら、既存の学校に包摂しきれない子どもの学びや教育を多様に保障していることが明らかになった。北星高校では12名の子どもに対するインタビュー(生の声)をすることができ、学びの主体者が創り上げる教育実践から学びを捉え直す視点を獲得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画より進展していると考えられる。研究の初年度は、本研究の目的及び研究分担などを明確にするために研究打ち合わせをし、共通の問題意識を共有することの計画であったが、本科研の採択以前から研究に取り組ん理由もあり、研究の進展及びその成果を少し早くまとめることができ、日本の学会のみならず、韓国の学会においてもその成果を発信することができた。さらには、日韓両国において開かれた日韓学術交流においても、その成果を公表することができた。 2016年度の成果は以下の通りである。 ①「第1回代案教育と地域教育運動韓日交流フォーラム」韓国大田建信大学院大学にて発表及び実践家及び研究者との交流。②第63回大会日本社会教育学会にて、自由研究発表及び「多様な学びを保障する代案教育・学校の日韓比較(その1)」というテーマで、ラウンドテーブルを開催、③第50回大会韓国平生教育学会(国際学会)にて研究協力者とともに共同発表、④日本社会教育学会・韓国平生教育学会第8回学術交流研究大会にて、研究分担者及び研究協力者とともに共同発表、⑤第4回多様な学び実践研究フォーラムin関西にて、「韓国の代案教育運動と多様な学校と学びー子どもたちの生き方を支える新しい学びー」というテーマで研究者部会にて発表。さらには、これらの諸発表の成果の一部を、⑥「韓国の都市型代案学校における新しい学びー共同・協同の生成との関連でー」北海道大学大学院教育学研究院紀要にまとめた。また、⑦鈴木敏正・降旗信一編著『教育課程と方法』、「韓国の『もうひとつの学校』代案学校(Alternative School)ー代案教育(alternative education)における新しい学びへの転換ー(第5章)」学分社にて、2017年9月公刊予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目には、前年度に残された追加調査を行い、データ収集と研究の論点と課題を明らかにすると同時に、今年度は特に、「多様な学びを保障する包摂的な教育基盤における教育原理・条件・成立」に関わる本を、「韓国の代案教育運動と代案学校」調査からまとめることにする。また、日本との比較視点を獲得するために、日本の調査においても充実に遂行していく。これらの成果を引き続き、日本および韓国の学会にて報告し、学会誌などへ投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者と研究分担者および協力者とともに前年度に残された課題を継続調査画必要のため、追加調査の費用生じている。具体的には、韓国のソウル・大田市・クムサン郡、ジョチョンなど、都市と農村地域の代案学校調査を今年も継続して行いたい。なお、日本北海道を含む、日本の先進的な実践を実施している学校をも調査を実施する。
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次年度使用額の使用計画 |
韓国および日本の調査、それぞれについてを計画に基づきフォローアップ調査と必要に学会発表のためのうちあわせなどを行う。
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