研究課題/領域番号 |
16K04523
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
辻 智子 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20609375)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域 / 若者 / 障がい者 / 少年院 / 矯正 / 共生 / コミュニティ / 若者支援 |
研究実績の概要 |
平成29年度は北海道道内町村調査①月形町を中心に実施した。毎月現地を訪問し、町内にて調査活動を継続した。その結果を報告書に作成し、年度末2月には調査協力者への報告会も実施し、そこで出された町民やNPOスタッフの意見を踏まえて報告書を作成した。 調査活動の経過は以下の通りである。○4月26日:NPO法人コミュニティワーク職員ヒアリング、月形町役場訪問、若者グループホーム樺月荘訪問、樺戸監獄博物館見学等、○5月24日:地域調査と町民ヒアリング(円福寺、北漸寺、監獄かんがい溝、商店、円山公園、赤川地区、知来乙地区、篠津山囚人墓地、昭栄地区、開拓神社、開拓婦人ホーム、南耕地地区、農地会地区など)、6月28日:地域調査(石標、樺戸神社、篠津山囚人墓地・火葬場(インタビュー)、畑、雪の聖母園資料館見学)、若者会への参加、○7月26日:月形町民より町の歴史についてのレクチャー等、○8月23日:町役場(地域おこし協力隊インタビュー)、NPOサトニクラス訪問、○9月26日:月形学園(少年院、施設見学)、○9月27日:NPOコミュニティワーク研究実践センター職員との懇談、○10月25日:NPOスタッフへのインタビュー○12月13日:若者の矯正に協力する町内事業主(飯塚自動車、花の里こども園)へのインタビュー、○12月20日:NPOスタッフへのインタビュー、町民インタビュー、○1月8日:町内NPO職員インタビュー、○2月19日:町民(NPOスタッフ含む)調査報告会。 平成30年3月に作成した報告書記載の内容は概要以下の通りである。月形町の概況(町のなりたち、人口推移と年齢構成、人びとが集まる場所:町内の様々な施設、学校教育、行事(祭り)、産業・労働、若者活動)、「わくわーく」による若者支援実践の展開、障がい者・若者と共に働くサトニクラスの実践、月形学園、若者・活動を見守る町民のライフヒストリーほか。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
関係者による多大かつ熱心な協力により、若者支援にかかわるNPO等のスタッフのみならず、そのような活動を受け入れた農村地域の住民にも話を聞くことができた。しかも、その住民は複数おり、各々の受けとめやかかわりの共通性と差異も見え、その延長で、実際に若者支援によってこの町に移住してきた若者とも話をすることができた。こうして、若者、若者を支援する者(スタッフ、職員)、その活動を受け入れる農村地域住民の三者関係が明確に見えた。若者支援活動に携わるスタッフへのインタビューのみを予定していた当初の計画に対し、それを大きく進展させる調査活動を展開することができた。また、そのまとめも報告書という形でNPOや町民に還元することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成30年度は、道内町村調査①(置戸町)、道内町村調査②(月形町)、被災地調査の3つについて、補足的に調査を実施するのと並行して、これらを突き合わせて浮かび上がる、地域に根ざした青年期教育の可能性を理論的に整理する作業を進める必要がある。 (1)道内町村調査①(置戸町):Uターン者、地元の若者(青年団)への追加インタビューの実施。(1~2月に置戸町訪問予定) (2)道内町村調査②(月形町):若者就労支援にかかわった町民、就労支援を利用した若者、NPOスタッフへの継続的なヒアリングの実施(月1回の定期的な訪問)。月形高校との連携、月形に居住・就労する若者たちへのインタビュー調査も実施予定。 (3)被災地調査:岩手県陸前高田市青年団体協議会、宮城県山元町で、追加調査を実施予定。 以上、(1)~(3)を進行させつつ、これらの調査から見出された知見を整理すると共に、理論的な検討にも力を尽くしたい。最終的には、研究成果のまとめとして単行本の出版をにらみながら内容を精査してゆく。また、その作業の過程では適宜、若者NPOスタッフにもかかわってもらい、共同討議を深める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金支出の計画が1件、次年度実施に変更したため。
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