研究課題/領域番号 |
16K04526
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
泉山 靖人 東北大学, 教育情報学研究部, 助教 (00322983)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | まちづくり / ひとづくり / 図書館政策 / 課題解決型図書館 / 生涯学習 / 図書館史 |
研究実績の概要 |
本年は理論的研究を推進するとともに、過去に展開されたまちづくり・ひとづくりに関わる図書館施策に関する資料収集を中心に調査を実施した。調査対象となった取り組みは、秋田県内の秋田県立秋田図書館(研究室の設置)、郡立大館図書館(読書会)、町立角館図書館(農村図書館)、宮城県内の気仙沼市図書館(読書会)、石巻市図書館(小学校附属書籍館)、宮城県図書館(児童文化振興)、仙台アメリカ文化センター(米国文化の流通)、福島県内の福島県立図書館(移動図書館サービス)、会津図書館(読書会)、郡山市図書館(緑陰図書館)である(いずれも調査対象時期の名称)。これらの取り組みは公共図書館の業務が定型化されたものではなく、多様な実態があったことを示すものであると同時に、一部の事業についてはその後衰退したことが確認されており、今後その背景を探ることにより、現在の公共図書館において同様の取り組みを構想した際の課題について示唆を得ることができると考えられる。これらの成果の一部は日本図書館文化史研究会で編さん中の事典(刊行時期未定)記事等に反映される予定である。 また、当該自治体の行政課題に対応した取り組みをおこなう図書館については、過年度に実施した佐賀県伊万里市事例の調査(まちづくり事業との協働)の再分析を実施した。この成果は2017年度中の投稿を予定している。その他の事例については、NPOと自治体との協働事例、図書館未設置自治体における読書の場作り事例、学校図書館支援センターによる学校支援事例に関する予備調査を終え調査計画(計3件)を作成したが、研究代表者の事情によりいずれの調査も実施を延期し、2017年度の調査を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歴史的研究に関しては資料収集とともにある程度の分析が進んでおり、この点については概ね予定通りの進捗となっている。 一方で、現在の公共図書館行政に関わるまちづくり・ひとづくり等の生涯学習政策に関わる変容と展開、およびそれらの変化が学齢期児童生徒を対象とする図書館施策に及ぼす影響については訪問調査に関わる予備調査および調査計画の策定にとどまっておりその点で進捗状況は遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
計画2年目となる2017年度においては、初年度の成果をふまえ、引き続き理論的研究をおこなって理論的枠組みの精緻化を進めるとともに、特徴的な取り組みをおこなっている自治体の訪問調査をおこなう。 Ⅰ.理論的研究:2016年度に引き続き、生涯学習施策・公共サービス管理システムの転換・展開、およびそれらに伴う地方自治体の機構再編に関する資料を収集・分析する。その際に、子育て支援・子どもの居場所づくり施策等と公共図書館の連携に関する視点、図書館施策を含む定住自立圏を構成する自治体における図書館サービスのネットワーク化に関する視点からの資料収集・分析をおこなう。 Ⅱ.訪問調査:2016年度中に予備調査を終えた、当該自治体の行政課題に対応した取り組みをおこなう図書館に関する訪問調査(3事例)を実施する。これらの調査とともに、観光等のまちづくり施策、子育て支援・子どもの居場所づくり施策等と連携した取り組みを実施している公共図書館を事例に新たな調査を実施する。なお、新たな調査対象については予備調査を開始しており、2017年度中の実施は可能であると判断する。 Ⅲ.研究成果の公表:以上の成果は、日本教育制度学会等において口頭発表及び機関誌投稿をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
訪問調査を2017年2~3月に予定していたが、研究代表者の事情(2017年4月1日からの所属変更)により業務多忙となったため、当該時期の調査実施を翌年度に延期することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
計画していた訪問調査(3件)は、2017年度中に実施する予定である。研究計画において2017年度に実施予定としていた調査とは異なる自治体が対象であるため調査回数が増えることとなるが、本務校の業務との兼ね合いにおいて実施に支障はないと判断する。
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