本年度は、公民館経営診断に必要となる経営診断のためのリンケージ構築作業、及び生涯学習施設の質に関わる検討を行なった。 経営診断のためのリンケージ構築については、2022年度に行なった長野県内の公民館の経営改善事例調査の結果を分析し、その結果を論文にまとめた。この調査では「公民館を充実、改善・整備したいことの有無」「充実、改善・整備の取り組みの有無と内容」「その取り組みによる成果、変化の兆しの有無と内容」の3 段階の質問をした。その結果、「公民館を充実、改善・整備したいことがある」は77.5%、このうちで充実、改善・整備に取り組んでいるのが67.3%、取り組みによる変化や成果(兆しも含む)を感じているがこのうちの89.2%であった。このことは、公民館の充実、改善・整備の課題を認識し、それに取り組むことにより、その成果が得られる蓋然性を示している。さらに、この調査で得られた30を超える改善事例の中から「取り組みにおける変化や成果」が見られるパターンを抽出し、「地元講師の育成」を診断名とするリンケージほか、3つのリンケージを提示した。例えば、「地元講師の育成」のリンケージの内容は、「地元講師の育成(診断名)-地元講師が指導者となる事業の実施(改善・整備による成果名)-地域の人材の掘り起こし/他施設,団体との連携(改善・整備名)」である。これは、地元講師の育成が課題であれば、地域人材の掘り起こしや他施設・団体との連携することにより、地元講師が指導者となる事業の実施につながりやすくなる、という意味になる。 生涯学習施設の質に関わる検討では、上記の調査では、公民館の運営や事業の質として、講座等のプログラムの内容、公民館職員の資質が上げられた。さらに,その質の維持・向上に必要なことは,職員の資質向上と講座等の指導者確保であった。 年度末には、研究成果報告検討会を公開で行った。
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