本研究においては省察的実践者の力量形成とその評価をめぐり、A.省察的実践者の力量形成をめぐる理論的研究、B.実践者からの聴き取りと実践者自身の記録の跡づけに基づく事例研究、C.それらの基礎研究をふまえた評価の組織化についてのモデルの構想・試行を連動して進めている。それぞれについて以下のような研究を進めた。 A. [理論的検討] D.A.ショーンの省察的実践者(reflective practitioner)とその教育をめぐる諸研究は専門職教育のもっとも重要な理論的基盤となっている。本研究においては省察的実践の評価に関わるショーンの論究を精査し、ショーンにおいては実践を評価する力そのものが省察的実践者の力量の中核として位置づけられていること、そしてまたその力そのものの評価をめぐるショーンのフレームを析出した。 B. [事例研究に基づく評価の視点・方法の検討] 実践者の力量形成過程については、その長期の展開過程を跡づけが不可欠となるが本研究では、長期的な実践経験を重ねている社会教育職員から実践の長期的な展開とそれに関わる学習・研究のプロセスを語っていただき、その展開とその条件と解明する取り組みを重ね、とりわけ社会教育の新資格「社会教育士」の創設と関わりその研修のデザインと組織について検討を進めた。 C. [評価の組織化・制度化をめぐる実践研究] 日本社会教育職員養成協議会の社会教育職員養成をめぐるプロジェクト研究とも関わり、新資格「社会教育士」の研修をめぐる組織的な検討を進めた。またここでの評価の組織化をふまえ、教師教育における評価の組織化への展望をひらくこととなった。
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