研究課題/領域番号 |
16K04548
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
片岡 弘勝 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (10224437)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域の教育力 / 影響力 / 形成力 / 指導力 / 個志向と集団志向の動態性(ダイナミクス) |
研究実績の概要 |
本年度は、「『地域の教育力』概念の理論的整理」に基づき、「地域の教育力」概念モデル(要件)の仮設計を行った。その成果である仮モデル(要件)は、下記のとおりである。① 作用力として、増山均(『子ども組織の教育学』青木書店、1986年)が指摘した、次記する三つの「レベル」を継承し前提とする。a「地域環境の<影響力>」、b「住民運動の<形成力>」、c「学校外教育の<指導力>」。 ②これら三つの作用力を前提として継承した上で、次記の点を追加した。d 「個志向と集団志向の動態性(ダイナミクス)を生み出す緊張力学」。 ③さらに、dの要件の醸成上、当該地域における「死者との対話」あるいは「過去の苦い経験との対話」が重要な契機となる場合が少なくない(e)。以上の①②③(a、b、c、d、e)の要件は、相互の関連構造を有するものとしてとらえている。 本研究の目的は、2016年度から2018年度にかけて、日本社会における「地域の教育力」の内実を理論的かつ実証的に解明し、実践分析のためのモデル(要件)を設計することである。その際には、成人による地域づくり実践・主体的学習と、子どもの主体的学習とは連動しており相互にインパクトを持ち合うという仮説を検証することを予定している。この仮説を検証し、両者(成人の実践・学習と子どもの学習)間の連動力学を解明するためには、個別具体的な実践分析による実証的研究が必要となる。その実践分析では、①②③の仮モデル(要件)の検証が必要不可欠となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄に既述したとおり、当初の予定であった「地域の教育力」概念モデルの仮設計を行うことができたため、本研究は予定通り進展していると言うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は、「実践分析と仮説の検証」を行う。「地域の教育力」が活性化され、蓄積されている具体的事例(農村地域および住宅地地域)の調査研究を行い、前記仮説(=成人による地域づくり実践・主体的学習と、子どもの主体的学習とは連動しており相互にインパクトを持ち合う。この連動力学こそが「地域の教育力」の本質を究明する鍵である、という仮説)及び、「地域の教育力」概念の仮モデル(要件)を検証する予定である。
2018年度は、農村地域と住宅地地域の両ケースの相違性を分析・特定すると同時に、共通性を分析・特定し、「地域の教育力」概念モデルを再設計する。そして、再設計した概念モデルをベースにして仮説の再検証・分析を行った上で、明らかになった成果を集約・整理して、「地域の教育力」概念モデル(要件)を総括設計する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費として購入発注した洋書が当該年度内に納品されなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該金額分は、洋書購入にあてる予定である。
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