研究課題/領域番号 |
16K04549
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
古賀 一博 広島大学, 教育学研究科, 教授 (70170214)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教員評価 / 教員人事 |
研究実績の概要 |
本研究は、諸外国における訪問調査を実施することを予定していたが、対象国すべての訪問ができず、次年度に持ち越す国が出たことは、予定外であった。 本年度の知見としては、米国の教員人事評価においては、州毎に異なる状況はあるものの、特定州(ミネソタ州)では、教職の専門職化の重要性を認識し、教員評価制度改革が進められており、興味深かった。同州では、州内教員のアカウンタビリティ・システムの構築と専門職化の実現といういわば車の両輪とも言うべき課題に向けて意欲的な取組みがなされており、その動向は我が国の教員評価制度を検討する上でも大いに示唆的であった。 また、本年度訪問調査した国の一つにモンゴルがあり、当該国においても、教員人事・評価を含む各種の教育制度上、仮説通り新自由主義的な教育改革が進んでいることが明白となった。特に都市部ウランバートルでは、急速な人口流入の煽りもあり、生徒数の急増に対応した的確な教員の確保に苦労している現状があった。 モンゴルの公立学校は、都市部・農村部を問わず、一つの学校に6歳から18歳までが通学する一貫制の公立学校が一般的であるが、特に地方農村部においては、もともと広大な国土に僅かな人口という当該国の特性もあり、極めて広範囲の地域から児童生徒が通学している。そのため、多くの学校は彼らのための寄宿舎を用意して教育活動を展開しているが、これら地方農村部における教員確保の問題は、質と量のいずれの側面においても課題が多い。特に教員の任用に関しては、各学校単位において実施されているため、その異動も基本的に存在せず、教員の長期的な資質能力の向上という点においては、課題の残るところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
29年度は、当初予定した調査対象国全体に訪問調査が行えず、その意味で十分な進捗状況とは言い難かった。学内業務との調整がつかず、予定していた相手方との日程がおりあわなかった点が、課題である。積み残しの課題は、次年度に持ち越して研究のスピードアップ化を図りたい。
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今後の研究の推進方策 |
30年度は、申請研究最終年度にあたるため、昨年度の遅れを取り戻し、予定の研究成果の創出につなげたい。 そのため、残りの調査対象国への訪問調査を早期に完了し、その調査分析を速やかに完了する。また、これまでの研究成果との突合作業を通して、本研究調査対象国全体を通した分析対象事項の異同や特徴などを比較析出することに務めたい。 そして、本研究の最終的な目標である「有効モデル」構築のための試案を検討し、我が国教員人事・評価制度の改善指針の提示を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外調査訪問が期間内に実行できなかったためであり、その分は最終年度に執行する予定である。
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