研究課題/領域番号 |
16K04551
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
鈴木 尚子 徳島大学, 大学開放実践センター, 准教授 (00452657)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生涯学習 / 認知症 / 教育学 / 博物館 / 回想法 / 外国 / 北欧 |
研究実績の概要 |
平成29年度には、主に国内外の博物館における認知症疑いの高齢者及びその周囲の人々を対象とした教育事業に着目し、現地調査を通じてその特徴を明らかにした。 平成29年6月には、国内の自治体の中で、生涯学習と福祉関連部署の連携による地域回想法を用いた教育事業を全国に先駆けて実施してきた北名古屋市を訪問し、同市の昭和日常博物館、回想法センター等において事業担当者から意見聴取を行った。同年7月には、スウェーデン及びデンマークの野外博物館が、その包括的環境を活かしながら管轄自治体の福祉関連部署と連携して実施している認知症高齢者及び介護者等を対象とした回想法事業を取り上げ、現地調査を通じてその特徴を明らかにした。この研究成果は、日本社会教育学会第64回研究大会(平成29年9月)において口頭発表し、より内容を精緻に分析したものを所属機関紀要に論文として公表した。 この他、日本比較教育学会第53回大会(平成29年6月)では、平成29年3月に英国・ブラッドフォード市及びブラッドフォードカレッジで実施した現地調査をもとに、認知症に優しい地域づくりに向けた生涯学習関連施設の果たす役割についての口頭発表を行った。さらに同年11月には、米国カリフォルニア大学バークレー校において開催された第7回「高齢化と社会」に関する国際会議において、高齢者間での生涯学習を通じたネットワークづくりとその課題に関する口頭発表を行った。本国際会議出席に先立ち、ニューヨーク近代美術館を訪問し、認知症高齢者とその介護者を主たる対象にした“Meet Me”と呼ばれる教育事業についても、エジュケーターと呼ばれる指導者の役割を中心に担当者より意見聴取する機会を得た。 平成29年11月から平成30年1月にかけては、所属機関において公開講座(「見つめ直す生涯学習~諸外国の事例から~」)を実施し、これまでの研究成果の一端を国民に紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、主に次の点から研究を進めることを計画していたが、ほぼ予定通りの成果を得ることができたため。
1.本研究課題に優れた実績のある諸外国の生涯学習関連施設に関する現地調査 平成29年度の計画として、認知症疑いの高齢者に対する教育学の観点からの肯定的変容に向けたアプローチがみられる事例を取り上げることを計画していた。これについては、スウェーデン・デンマーク・米国の博物館(美術館含む)における認知症関連の教育事業に関する現地調査を遂行し、運営責任者及び運営実施者への聴き取り調査、参与観察調査、資料分析調査等の方法論を用いて、学習支援のあり方、職員研修の内容・方法、認知症高齢者及び介護者の教育事業を通じた変容等を中心にその特徴を明らかにした。 2.国内外の現地調査にもとづく研究成果発表及び最新動向に関する情報のアップデート 平成28年度末から平成29年度にかけて国内外で実施した現地調査にもとづき析出した研究成果について、関連する学会で発表するとともに、時間が許す限り最新動向に関する情報のアップデートを行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には、前年度の研究成果について、不足分を補いながら徐々に比較考察を行うとともに、可能であればさらに視野を広げ、本研究課題に関して別の観点から取組のみられる事例の現地調査を遂行する予定である。 平成30年度前半には、平成29年度までに複数国の生涯学習関連施設で実施した現地調査を取り纏める上で、さらなる情報収集・分析が必要な点に関しては、必要に応じて当地関係者への照会や関係諸国への訪問により、継続して研究を進めていく。平成30年度後半には、対象となる認知症疑いの高齢者の人間的側面により焦点を当てた教育学的アプローチについても精緻に情報収集を行い、可能であれば現地調査を実施する。 以上と並行して、平成30年度までの研究成果を関連学会等で発表するとともに、関連集会への参加等を通じ、国内外における最新動向に関する情報のアップデートを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究自体は概ね順調に進めているが、その他用務との関連により、学会発表以外の関連集会等への積極的な参加や、諸外国における調査研究のための滞在等に十分に時間を割くことが難しかったため、次年度使用額が生じた。これについては、平成30年度に、平成29年度中に遂行できなかった点を補いながら使用する予定である。
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