本研究の成果として、①高齢化の進行する国々の先進的な図書館・博物館・美術館等では、認知症疑いの高齢者や認知症高齢者を主たる対象として、施設の特性や地域資源を活かした教育事業が行われていること、②認知症が重症化した高齢者に対しても、アウトリーチ事業として生涯学習関連施設の職員やボランティアが介護施設に出向いたり、当事者が快適に過ごす包括的環境が整備されたりする中で、多様な学習支援が提供されていること、③職員には対応力向上のための研修が実施されていること、④以上の学習機会を通じ、認知症当事者に、社交性の向上、人間性の発揮、地域への帰属感の実現等の肯定的変容がみられることが明らかになった。
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