研究課題/領域番号 |
16K04558
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
上田 敏丈 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (60353166)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 保育行為スタイル / SCAT / 質的研究 / 専門性 |
研究実績の概要 |
本研究は、上田(2017)の保育行為スタイルの内化と外化のプロセスをヴァルシナーの発生の三層モデルに基づき、構造化し、プロセスとして明示したものを土台として、保育士への3年間のインタビューを通して、保育行為スタイルの分岐がどのような要因によって起こるのかを明らかにする。 本研究の研究協力者は、愛知県内の公立保育園に勤務する2名の保育士(ミナ先生、マツリ先生、共に仮名)である。2人へのインタビューは、現在の保育の状況、上手くいったと感じた関わり、上手くいかなかったと感じる関わりについてを中心に約1時間行った。インタビュー実施回数は13回である。これらの語りを分析し、2名の保育士の保育行為スタイルがどのように分岐していくのかをTEA(Trajectory Equifinality Approach)で明らかにする。なお、本研究は名古屋市立大学大学院倫理審査委員会の承認を得ている。 本研究の協力者であるミナ先生とマツリ先生は、二人とも3歳児を担当していた。3年目の段階では「何が自分のやりたい保育で、どうすればよいのか」が分からない状態であるまま保育を行っていた。4年目から5年目になると、それぞれが一緒に組んでいる経験の長い臨時職員やパートの保育士のやり方を受けており、その人たちの影響が多いことを述べていた。 1-3年目の保育士は、配属後の保育を経験していく中で、リアリティショック(谷川 2013)を受けつつ、まがりなりにも保育ができるようになる時期である。その時期が過ぎた3-5年目の保育士は、それを受け止めつつ、一緒に組んでいるパートや臨時職員の保育観の影響を受け、「無理しない中で頑張って欲しい」と「出来るだけ伸びて欲しい」という根底にある子どもへの期待が変わっていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、概ね順調にすすみ、データの収集も終了しているものの、学術誌への投稿が終了年度を超えてしまう見込みとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究でのデータの収集は終了しているため、分析をさらに精錬し、学術誌への投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会投稿用に、論文投稿料、郵送料等に使用するために差額を生じさせた。
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