社会教育学では、事業論や職員論等に比して、施設研究は大きな潮流とはなっていない。また、学校建築や図書館・博物館建築研究に比しても公民館を対象とした研究蓄積は薄い。本研究で得られた都道府県別の公民館の施設設置形態の統計と個々の実態例の史資料分析は、今後の当該研究の基盤となる。 現在、財政窮乏下の自治体では公共施設の統廃合が加速度的に進行している。一方で、超高齢社会・少子化のもと、小地域を圏域に地域づくり・地域福祉などの活動がさかんになってきている。教育機能を有して地域に位置する常設の社会教育機関がある意味と、その模索の可能性や課題を歴史的に検討することは、現代的課題にも示唆するところが大きい。
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