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2017 年度 実施状況報告書

幼児の表現に影響を与える描画指導法の検討-自分なりの表現を楽しむために-

研究課題

研究課題/領域番号 16K04563
研究機関和洋女子大学

研究代表者

島田 由紀子  和洋女子大学, 人文社会科学系, 教授 (80369397)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード幼児 / 自由画 / 描画の構成要素 / 性差 / 描画指導 / 保護者の関わり / 保育者の関わり / 構図
研究実績の概要

特別な描画指導を行っていない幼稚園、保育所に通う幼児の自由画の特徴の実態、家庭でのお絵かきと保護者の関わり、園での造形活動と保育者の関わり、について調査分析を行った。
1.描画を構成する色彩、描写力、技法、構成、を技術面、着想、自由さ、を創造性、そして主題という7つの項目について、幼児の造形教育専門家による評定を行った。色彩、描写力、技法、着想、主題については、女児の方が評定の数値が高く、有意差が認められなかった構成と自由さは、性差の特徴が低い項目であることが考えられた。
2.自由画の「構図」の特徴について「横並び型並列表現」「積み重ね型並列表現」「一点拡大」「俯瞰表現」「カタログ表現」と「その他」の6カテゴリ、描いた位置について「上部集中」「下部集中」「右または左に集中」「中心」「バランスよく」と「その他」の6カテゴリと分類を試みた。構図の使用率は「横並び型並列表現」がもっとも多く、男児には分散傾向がみられた。描いた位置では「バランスよい」が多く、偏りのある構図は少ない。
3.「家庭でのお絵かきでの保護者のかかわり」では、母親の描画の教え方は「お手本を描いてみせる」「何もいわない」が多い。幼児への言葉がけでは、男児には「かっこよく」「大きく」、女児には「かわいらしく」と伝えており、無意識に幼児の性別に応じた表現への導きが行われている可能性が示唆された。
4.「園での造形活動での保育者のかかわり」では、保育者が幼児の性別によって造形表現が異なることを認めており、男女別の活動が設定されている場合もあった。保育者は全体を指導しながらも一人一人に応じた援助を心がけていることが確認された。
これらの調査結果から、特色ある描画活動や表現活動を行っている園を対象とした同様の調査研究を実施することで、幼児自身のより自由な表現を保障するための環境について示すことのできることが改めて確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

描画指導法等の資料や情報収集についてはおおむね順調に進めることができた。すでに調査が終了している幼児の描画の分析、保護者、保育者への質問紙調査結果の分析については、おおむね順調に行うことができた。
今年度予定していた特色ある描画指導を行っている幼稚園や小学校での調査を行うことができなかった。その理由としては、調査予定をしていた国内の幼稚園の調査希望日時の全日程が変更になり、遠方であったことから調査を実施することできなかった。チェコ共和国の幼稚園、小学校の調査についても受け入れ側の都合により、次年度に延期となった。

今後の研究の推進方策

1.国内での特色ある描画・造形指導を行っている園の調査(自由画収集、園の方針、保育者の指導法、園児の家庭での保護者の関わり等)を行う。特色ある描画指導や造形指導を行っている園や小学校は、行事として展覧会を行っている場合も多いことから、園や小学校での調査と同時に、展覧会に出向いての実態調査を行うことで、調査対象の描画数を増やすよう努める。
2.チェコ共和国での、国全体の教育指導とは別に幼稚園や小学校ごとに園長、校長の方針により独自の教育を行っていることが確認され、調査協力が得られることになっているので、そこでの幼児、児童の描画収集と、保育者への質問紙調査は実施する予定である。次年度は、所属大学のスケジュール等から長期の滞在は難しいことから、短期の滞在を複数回行い、調査を実施する予定である。
3.調査分析が終了している研究内容等については、随時学会発表や学会誌への投稿を行う予定である。
4.調査のデータ入力や文献リスト等の整理は、外部委託することにより、研究全体の効率化をはかる。
5.研究内容の検討や、進め方について再度見直し、研究協力者との連携を深めるとともに、必要に応じて様々な分野の研究者との意見交換を積極的に行う。

次年度使用額が生じた理由

大きく3つの理由が挙げられる。これまで収集した自由画等の作品のデータ入力を自分で行ったので、その分の人件費がかからなかったこと。国内での幼稚園、保育所、小学校等での調査が実施できなかったこと、チェコでの調査研究の日程が延期されたことである。調査の実施が難しかったので、旅費交通費と画材を含む消耗品等の使用が少なくなった。次年度は、長期の調査期間を計画するのではなく、短期間の調査を複数回実施することで、調査実施を遂行したいと考えている。あわせて研究内容がまとまった項目から随時公表(学会発表や論文投稿、講演など)も積極的に行えるよう調整したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 幼児の自由画にみられる性差の特徴 -幼児の造形教育専門家による7つの評定項目から-2018

    • 著者名/発表者名
      島田由紀子
    • 雑誌名

      和洋女子大学紀要

      巻: 58 ページ: 71-78

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 家庭における子どものお絵かき2018

    • 著者名/発表者名
      島田由紀子
    • 雑誌名

      和洋女子大学教職教育支援センター年報

      巻: 3 ページ: 83-89

  • [学会発表] Characteristics of Boys and Girls as Seen Through Motifs Depicted in Free Drawings of Children2017

    • 著者名/発表者名
      SHIMADA Yukiko
    • 学会等名
      Asian Society of Child Care

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公開日: 2018-12-17  

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