研究課題/領域番号 |
16K04569
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
黒田 友紀 日本大学, 理工学部, 准教授 (60631851)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学校改善 / キャパシティ・ビルディング / 教師の専門性 / 授業づくり / 学校改革 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、1.学校改善とキャパシティ・ビルディングを促す教師の専門性の開発を支える構造とその方策を分析するための資料収集及び分析と、2.個人と学校のキャパシティ・ビルディングを促す教師の専門性の開発と学校改善の事例の調査とその検討を中心に研究活動を行った。具体的には以下の通りである。 1.教師の専門性の開発と学校改善の制度と構造の解明:平成29年度に引き続き、各国の学校改善と教師の専門性の開発を扱う著書・論文の収集および分析を継続した。とくに、米国の「すべての生徒が成功する法(Every Student Succeeds Act: ESSA)」の下での教育政策についての資料を収集してまとめた。また、カナダについては、アルバータ州の学校改善の取組みについてまとめた。オンタリオ州については、学校改善と教師教育改革に関する資料の収集を行った。 2.実地調査:平成30年11月に米国・マサチューセッツ州・ボストン市とケンブリッジ市における学校改善の取組みについて実地調査を行った。また、平成31年2月に、カナダ・オンタリオ州およびマサチューセッツ州ボストン市において、学校改善と学校改革に取り組む学校を訪問して調査を行った。また、日本の学校・授業改善については、愛知県・静岡県・兵庫県の学校を訪問し、授業研究およびインタビュー調査を行った。 3.研究の成果:日本比較教育学会第54回大会において、「カナダ・アルバータ州における学校改善改革の展開-教師・学区・大学の協働による教師の専門的な能力の開発-」について報告を行った。また、日本教師教育学会第28回大会において、「カナダ・アルバータ州における教師の専門的な能力向上と学校改善―教員スタンダードの活用と教師の語りを通したエビデンスにもとづく省察と実践 ―」について報告を行い、教師教育改革と教師の専門的な能力向上について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教師の専門性の開発と学校改善の制度と構造の解明については、米国における「すべての生徒が成功する法」(ESSA)の下での学校改善について資料を重点的に収集できた。また、カナダについては、アルバータ州の学校改善の取組みと教師教育改革の観点からまとめて、学会報告を行った。また、オンタリオ州における学校改善と教師教育改革についての資料収集も行った。しかし、まだ資料収集も十分とは言い難い。そのため、今後も継続して資料収集を行い、制度と構造の分析を進めたい。 実地調査については、米国とカナダにおいて学校改革や授業改革に取り組んでいる複数の学校への訪問調査を行い、校長や教師から話をうかがうことができた。米国では、継続して訪問調査をしている学校の校長に、これまでの取組みの経緯や学校の現状について話をうかがうことができた。日本の調査については、愛知県、静岡県、兵庫県で学校改革や授業づくりを行っている学校に継続して訪問し、校長や研修主任や教育センターの担当職員に授業づくりについて話をうかがった。しかし、これまでに調査した事例にもとづいて、国家/連邦政府、州/都道府県、学区、学校における教師の専門性の開発と学校改善の方策とその有効性について検討を行うまでには至っていない。これについては、最終年度の課題としたい。 研究成果については、カナダ・アルバータ州においてこれまでに収集した資料や実地調査の分析にもとづいて、学校改善改革と教師教育改革の二つについて学会報告を行った。最終年度は、報告した内容について学会機関誌や学内紀要などへの投稿を準備したい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成31年度は、本研究課題のまとめとして、米国およびカナダの教師の専門性の開発と学校改善の制度と構造についてまとめることと、事例にもとづいて、キャパシティ・ビルディングにもとづく教師の専門性の向上と学校改善の方策とその有効性について検討を行う予定である。 そのために、不足している情報の収集は、できる限り今年度の前半期に行う。また、実地調査の補足的な調査は、カナダ・アルバータ州で行う予定である。日本での調査と事例の検討は継続して行う。また、個人と学校のキャパシティ・ビルディングを促し、教師の専門性の開発を支援する組織(教員組合やNPO)等にもコンタクトを取り、その実態調査を行う。 調査した事例にもとづいて、国家/連邦政府、州/都道府県、学区、学校における教師の専門性の開発と学校改善の方策とその有効性について検討を行う。その際、国際比較も行いたい。 4年間のまとめとして、日本教育学会などの教育関連の学会での発表と、学会誌等への投稿を予定している。また、報告書を作成し、関係各所に配布し、本研究の知見を共有・公開する。
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