小中一貫校制度を用いた学校統廃合の日米比較研究を行い、学校統廃合の方途の1つとして用いられている実態を検証した。 日本においては、広島県、岡山県、京都府、茨城県の自治体のケースを対象として調査研究を行った。「地方創生」政策のもとで、公共施設等総合管理計画(2014-16年度)によって自治体の延べ床面積の削減が「数値目標」として定められるようになっている。公共施設の面積の約半分が学校教育施設でもあることから、学校統廃合は増加している。その際、過疎地の小学校、中学校を複数統合することのできる小中一貫校制度は、保護者にポジテイブなイメーシを与えることもあり多用されている。特に、平成の合併期に合併された側の自治体の小中学校をすべて1校にまとめて小中一貫校にする方式が過疎地において多く見られる。その背景には、財政誘導がある。2016年度から学校教育法の一部改正により改正された「義務教育学校」は、校舎建設費の2分の1に国庫補助が適用されるようになった。また公共施設再編計画に記入することにより、地方債の適用も可能になった。 他方アメリカのシカゴ市では、都市開発、新たなタイプの人材養成といった経済の資する目的のために大規模な統廃合が実施されてきたが、Consolidationとして複数の学校を1校の建物にまとめる方式も利用されている。その場合、学力テストが低いことに対する「ペナルテイ」として閉校措置や公設民営学校化が用いられるのが日本と異なり特徴的である。「エリート養成」に特化した小学校は、5~6年制を維持しているのに、貧困地域の学力が低い学校を8年制の焼酎一貫タイプにまとめていくことが多用されている。
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