研究成果の概要 |
この研究を通して、異年齢保育への転換の背景と実践の多彩な展開に迫ることができた。同時に、異年齢保育の歴史的意義は,保育の形態・方法上の転換という観点からだけではなく、保育の「学校化」への対抗という観点から検討が必要だということも明らかにした。そこで、今日の「学校化」問題に関する先行研究の整理をおこない成果を公表した。 その際、保育の「学校化」問題に関する議論には、2つの流れ~学校教育の「前倒し」及び「福祉,保健,その他の関連領域から分離」~があることがわかった。後者に注目し、「保育所は乳幼児学校ではない」という保育所観を打ちだした保育者の実践に注目し、その実践史的検討に着手するに至った。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
わが国では、近年の「子ども・子育て支援新制度」に連動した「保育所保育指針」等の改定に伴い、保育所は「幼児教育の一翼」「学校教育の一翼」を担うとされた。OECD加盟国でも, 近年の社会的な事情を背景に保育と学校教育の制度統合と保育・教育課程改革が進み、保育の「学校化」が問題になっている。 保育の目標・内容・方法,学級編成,「場」のあり方(「生活の場」「昼間のお家」)等「広義」の保育方法に焦点化してきたこれまでの研究だけでは、保育と学校教育の関連や保育所(保育)の意義・独自性を示すことはできない。本研究は、「福祉関連領域からの分離」という観点から,保育の「学校化」問題を考える新たな材料を提供する。
|