研究課題/領域番号 |
16K04578
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
劉 慶紅 立命館大学, 経営学部, 准教授 (20632673)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大学の情報公開 / 大学の社会的責任 |
研究実績の概要 |
本研究の全体構想としては、企業に社会的責任(Corporate Social Responsibility)が求められる一方、より公的な存在である大学において社会的説明責任が重要視されるのは当然であるというものである。本研究では、大学の社会的責任(University Social Responsibility)に着目し、国際比較等を通して、大学経営を存続させるべく有効的な大学情報公開のあり方に関する基盤研究を行う。
本研究は、今後大学経営を存続させていくうえで有意となり得る大学情報公開戦略のあり方や国際社会に通用する大学の情報公開の適切なあり方を模索すべく日米中を比較分析し、情報公開に関する大学の社会責任を中心に独創的かつ革新的に研究する。研究期間内には以下のことを明らかにする。 1、国際間における大学情報開示に対する政府の姿勢及び学界における議論の相違;2、各々の大学及びそのステークホルダーにおける大学情報開示に対する認識;3、ステークホルダーに求められる大学情報開示の対象及び範囲;4、今後大学経営を存続させるべく有効的な大学情報公開戦略のあり方。
尚、本研究を通じて、今年度(2016年4月1日~2017年3月31日)は、米国スタンフォード大学の在外研究に集中し、査読論文1つ及び英文、中国語の書籍2冊出版等を通じて研究実績を発表を行い、当初の計画に基づき研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度(2016年4月1日~2017年3月31日)は、米国スタンフォード大学の在外研究に集中し、「日米中間における大学情報開示に対する政府の姿勢及び学界における議論の相違」についての理論研究を行い、おおむね当初の計画通り進展している。
具体的には、現在大学の社会的責任及び大学の情報開示は近年、特に重要性を指摘され始めた分野で、学界において十分な議論がなされていないという点について分析している。こうした見解の相違は日米中間の社会的背景に基づくものであるが、それを裏付けるため、日米中それぞれの公文書、報告書、文献などの研究を通して分析している。中国側の文献では、趙(2009)や王(2005)に代表される大学の社会的責任論に関する議論を通して、中国における大学の社会的責任に関する基礎理論を整理している。また、アメリカの文献では社会的責任としての大学の情報開示の必要性が示唆されており、教育部の公開資料と併せて整理することで、大学情報開示に関する現状と問題点を明らかにしている。実際に、現地でのヒアリングも実施し、議論の相違を明らかにすることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、「各々の大学及びそのステークホルダーにおける大学情報開示に対する認識」「ステークホルダーに求められる大学情報開示の対象及び範囲」についての実証研究である。
2017年度に行った実証研究の結果に基づいて、今後の大学経営において取り組みがなされるにあたり、社会が求める情報開示の水準や内容を十分にクリアしつつ、また経営存続に向けた有意な攻めのツールとするためには、いかなる情報公開戦略のあり方が効果的かを今後考察する。同時に、大学の社会的責任と情報開示に関する著作として、日米中間における大学の社会的責任論としての情報開示の必要性及び、情報公開が大学経営のオペレーションに対し、いかに効果的な作用するかを示唆する内容を記した学術図書を公刊する。また、本研究で協力を得る立命館大学及び早稲田大学、アメリカのスタンフォード大学およびカリフォルニア大学バークレー校、北京の中国人民大学、上海の上海外国語大学、国内で調査協力を得た大学に研究成果をフィードバックする。
2018年度の研究課題は、「今後大学経営を存続させるべく有効的な大学情報公開戦略のあり方及び国際比較を通した情報公開に関する大学の社会責任」についての考察である。研究が当初計画どおりに進まない場合、研究調査対象地の限定もしくは変更を行う。例えば、調査対象の大学や企業の協力が予定通り得られない場合に備えて、地域や大学の特性等をふまえ複数の選択肢を想定しておき、万一協力が得られなかった際にも、すぐ代替案が講じられるようにしておくようにする。また、アンケート調査が困難な状況には、現地の調査会社もしくは大学等の研究機関と連携し、データ収集を行い、分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度1年間(2016年4月1日~2017年3月31日)米国スタンフォード大学において在外研究を行ったため、購入後日本への持ち帰りが困難であると判断し、計画していた物品費(PC等)は使うことが出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度(2016年4月1日~2017年3月31日)は計画していた物品費(PC等)を購入することが出来なかったため、次年度への経費(日本にて)に充てたい。
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