研究課題/領域番号 |
16K04579
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研究機関 | 大阪樟蔭女子大学 |
研究代表者 |
佐野 美奈 大阪樟蔭女子大学, 児童教育学部, 教授 (00341785)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モーションキャプチャー / 音楽的表現 / 幼児 / 定量的分析 / 幼稚園 / 保育園 |
研究実績の概要 |
2017年度には、研究計画どおり、保育形態の対照的なF幼稚園とY幼稚園で、4段階から成るMEB(音楽的表現育成)プログラムより抽出した2016年度の研究対象であるU保育園K保育園に対して行われたと同一の活動内容を中心に、3歳児、4歳児、5歳児に対して音楽的表現の実践が行われた。その実践過程で、2016年度と同様に、17か所の身体部位にモーショントラッカーを装着した対象児が、1人ずつ、本科学研究費補助金で購入したMVNシステムによる音楽的表現に関する動作解析に参加した。各活動段階で各2か月を活動期間とし、そのうち、各幼稚園で2日間を音楽的表現の動作解析に充てた。そして、2か所の幼稚園で92人分のデータをMEBプログラム4段階分について取得した。主な分析対象は、各測定部位の移動距離、移動平均速度、移動平均加速度であり、取得データに関しての定量的分析、映像分析を行った。同時に、MEBプログラムの実践前後に筆者考案の音楽テストを4歳児と5歳児に行い、その得点と前述の動作解析結果との関係性についても分析を行った。その結果、骨盤や右手をはじめとする移動距離と移動平均加速度の大きさがMEBプログラム第3段階に顕著であり、4歳児において、音楽的諸要素の認識と右手移動距離や右手移動平均加速度との強い関係性が見られた。これらを踏まえて、2016年度のU保育園K保育園と2017年度のF幼稚園Y幼稚園の取得データを合わせて、活動段階・保育園幼稚園別・対象児の年齢という側面から行った定量的分析、および対象児の個別データの分析から、対象児の音楽的表現における動きの変容について、保育園と幼稚園の類似点や相違点が見い出され、これまでの研究よりも詳細に捉えられた。これらの結果について、学会発表や論文発表で発信した。加えて、保育園児の音楽的表現において抽出された特徴量をもとに機械学習およびモデル分類も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画どおりの対象園、対象児に対して、MVNシステムによる音楽的表現の動作解析を行い、予定通りの定量的分析を行った。その結果、2016年度と2017年度の結果を合わせたより詳細な分析を行い、音楽的表現における動きの要素の変容を捉えることができた。また、取得データにおける動きの要素の特徴量抽出、機械学習およびモデル分類を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度には、平成29年度と同様の研究方法で、幼保連携型認定こども園の3歳児、4歳児、5歳児に生じた音楽的表現を分析の対象とする。その取得データを2016年度、2017年度の結果と合わせて定量的分析を行う。同時に、2018年度の対象の4歳児、5歳児にも、2017年度と同様に、MEBプログラムの実践前後に同一の筆者考案による音楽テストを行い、この3年間に行った音楽テストの結果分析を行う。そして、研究計画当初には示されていなかった、動きと音楽的諸要素の認識との関係性を表す手法についても総合考察を行う。また、2017年度に行った、対象児の音楽的表現における動きの要素の特徴量抽出、およびサポートベクターマシン等による機械学習とモデル分類に基づいて、対象児の他児達の複数データについて、判別評価を行う。その上で、動きの要素に依拠した幼児の音楽的表現の発達過程に関する評価方法を提示する。
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