研究課題/領域番号 |
16K04582
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
佐々木 英一 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (30125471)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 職業教育 / 大学中途退学 |
研究実績の概要 |
本年度は、先進国(OECD諸国)「知識基盤社会」論に基づく高等教育推進政策の下で、中等教育の職業教育の変化を探るため、中等教育での職業教育が強固であるドイツを対象として、職業教育領域での高等教育と中等教育の関係を明らかにする作業に着手した。 今世紀に入ってからのドイツの高等教育進学率の上昇を背景に生じた問題の一つとして、大学における中途退学問題を取り上げて、その実態を明らかにする作業を行った。具体的には、連邦教育科学省、連邦職業教育研究所等のデータを整理し、高等教育進学者の増加と同時に、中退者が急増していること、そして中退後の進路について量的に把握できるデータを入手し、整理した。 さらに、質的な調査を行うため2017年2月に、ボン大学中央学生相談所(Zentral Studienberatung)のHalfmann氏に、ボン大学の中退者の状況について聞き取り調査を行った。さらに、化学学部のKessler博士、Stobe氏から、自然科学専攻学生の成績実態と学習指導状況について説明を受けた。また、ボン大学学習センターで、Krueger氏から学生の学習指導改善についての状況、学生の学習実態さらには中退の背後にある問題について、議論を交わした。 ドイツ職業教育研究所では、大学中退者の職業教育について同研究所の、Schneider, Hamkes氏から聞き取りを行った。 以上の調査から、ここ数年、ドイツでは大学進学者の増加とともに、中退者も増加しており、その実態の正確な把握と防止策の模索が進んでいること、さらに中退者に対して、職業教育を施す具体的な方策について、いくつかのパイロット的な施策が始まっていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画であったドイツ関係の資料収集についてはほぼ計画通りに進捗した。ドイツ連邦統計局の教育文化統計、連邦職業教育研究所の資料も、インターネット経由でのアクセスが格段に整備されたので、スムーズに入手できた。 オーストリアに関しては、モノグラフの探索と収集は一定程度進んだが、ドイツほどには進捗しなかった。 現地調査については、計画通り連邦職業教育研究所を訪問できたし、ボン大学で入念な中退者に関する調査が行えたのは、計画以上であった。オーストリアへの現地調査は行えなかった。来年度に行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、オーストリアの資料収集と現地調査に力点を置いて進めたい。特に、職業教育高等学校での職業教育の実態と、そこからの大学進学の実態を中心にして資料の収集、分析及び現地調査を行う予定である。 ドイツに関しては引き続き、大学中退者の職業教育について調査を継続するとともに、中等教育の職業教育の変化、さらにそこからの高等教育への進学の実態及び問題点に焦点を当てて調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張が2月後半になり、所属機関の旅費精算期限との関係で、出張旅費支払いを次年度に繰り越したため、次年度使用額が出たが、実質的には当該年度の使用であり計画遂行上問題はなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
理由で述べたように、本年度の支出計画に影響しないと考えており、予定通りの研究計画を進める。
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