研究課題/領域番号 |
16K04587
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
高妻 紳二郎 福岡大学, 人文学部, 教授 (20205339)
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研究分担者 |
榊原 禎宏 京都教育大学, 教育学部, 教授 (90215616)
辻野 けんま 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (80590364)
照屋 翔大 茨城大学, 教育学研究科, 准教授 (90595737)
藤村 祐子 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (80634609)
張 揚 北海道大学, 教育学研究院, 助教 (60767193)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学校支援 / 学校評価 / 自主性・自律性 / 教育経営研究 |
研究実績の概要 |
学校の教育力向上にかかる研究動向を明らかにするために、本年度は米・英・独・中4か国における教育行政・経営関連の学会大会の動向等を通覧して各国の研究トレンドを抽出した。それぞれの学会誌掲載論文にみる特徴などから、地方政府による学業達成のアセスメントを主たるツールとした単位学校への支援策が導入されているアメリカ、学校主導型の経営戦略が普及してリーダー育成のシステム自体が改革されるといった新展開がみられるイギリス、アウトプット制御が指向され目標協定制度の導入が図られているドイツ、急速な教育方法開発や教員養成事例を数多く参照できる中国、というスケッチとして整理できた。 また、教員の自主性・自律性を巡る議論において、中央・地方政府=「公」による学校の運営管理のあり方が、歴史的にその時代の政治的主張と重ね合わせて議論されてきたイギリスと連邦教育省に学校領域の権限がほぼないドイツ、発足当初から州政府の裁量であるアメリカ、強力な教育部を擁する中国の教育経営上の課題や改善方策はおのずと出自から異なっているため、可能な限り現地に足を運んで4か国の共通項や各国のオリジナリティを分析整理した。 例えば現在の中国の教育管理学科学術委員会は、政府、学校、社会の関係性に注目し、より学校運営の自律性に関心を持つようになっており、「学校管理・学校づくり・学校評価の分権化に関する三位一体の教育改革」が着実に進行中であることなどが明らかになった。他の3国においても新しい学校支援システムが学術研究、実践現場においても展開中であって、我が国にも参照できる試みや課題解決の手法等も指摘できる。アメリカでも個別学校単位での学校経営・学校改善から地方教育行政を基礎単位にした個別学校と地方教育行政の協働活動として地域教育経営・学校改善へと向かいつつある傾向があることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本教育経営学会国際交流委員会の委員が担当各国の教育経営関係専門学会(academic society)の系統的整理を試み、研究者や学校関係者との往還関係の構築・継続を図っており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
学校の教育力向上に資するための諸条件の整備について、その展開状況や見通しに分析を加えるために、教育行政・経営の基本的仕組み及び関連学会の最近の傾向について、現地で開催された学会へ参加し、そこで得られた知見を学会等で提供していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度分と29年度分を合算して平成29年度の海外調査、学会参加の費用に充てるため、平成28年度分の旅費の一部をあえて29年度に回したため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に海外開催の学会及び研究大会に参加したうえで現地調査を実施する。前半期にアメリカ、後半期にドイツでの調査を計画している。
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