研究課題/領域番号 |
16K04589
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研究機関 | 国立音楽大学 |
研究代表者 |
林 浩子 国立音楽大学, 音楽学部, 准教授 (00587347)
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研究分担者 |
岩田 恵子 玉川大学, 教育学部, 教授 (80287812)
宇田川 久美子 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (90513177)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 二人称的転換 / 保育実践 / 二人称的記述 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、保育実践や保育研究が「みる-みられる」の二人称的応答のなかで、保育者や研究者が「みる」「記述する」とはどのようなことか。二人称的眼差しの記述の在り方をより一般的な三人称的眼差しの記述と比較検討を行いながら、保育という営みを二人称的観点から記述する可能性をさぐった。具体的には、以下の2点を中心に研究を進めた。(1)保育実践や保育研究を二人称的に記述することの意味とその方法についての理論的研究(2)平成28年度、29年度と継続して行っているフィールドワークの記録を二人称的に記術し直し、そこから見えてくる意義の探求 二人称的記述については、当初の計画では、平成30年度を予定していたが、フィールドワークを実施、記録、分析、考察していく為には、上記の項目は研究に必要不可欠であった。 今年度の研究から明らかになったことは、①二人称的記述とは、子どもの視線に注目し、子どもの見ているもの、感じていること に共感し共同注意を行うことであり、それは二人称的眼差しである。②二人称的記述によって、主体としての子どもの思いや願い、それは、「ワタシ」であるという一人称が明確になる。③二人称的記述によって、実践者た研究者の「ワタシ」としての一人称が明確になる。④二人称的記述は出来事を客観的、俯瞰的に見る二人称を基盤とした三人称的吟味 (rethink, reflect, restate)を生み出す⑤二人称的記述が子どもとともに「よさ」に向かい共に「よさ」を発見、創造する実践や研究を生み出し、そのことが保育の営みの二人称的転換になりうることが明ら かになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実施計画に基づき、定期的な研究会の開催、平成28年度の引き続き、乳幼児施設のフィールドワークでの事例のまとめと検討を行い、着実に研究を進めている。 上記の研究内容について、学会発表(国内、国外)を行った。また、平成28年度、29年度の研究成果として、平成29年8月に『子どもがケアする世界をケアする 保育における「二人称的アプローチ」入門』をミネルヴァ書房から刊行した。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度として、具体的に以下のことを明確にする。(1)保育の場における二人称的かかわりを基盤とした三人称的世界の検討の理論構築と(2)保育実践における二人称的かかわりの二重構造と、保育研究における二人称的かかわりの三重構造の関係構造 (3)二人称的かかわりと「知る」ことの関係を明確にし、知の営みの二人称的転換を探 求する。 なお、研究のまとめを行うと共に、引き続き、国内外の学会発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
メンバーの内1人が、当初予定されていなかった海外視察に29年度の予算と合算させて30年度に行くことになった。また、メンバーの内1人が、29年度に計画していた物品(パソコン)を29年度中の予算内で購入することができなかったため、30年度の予算と合算して購入することとした。
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