平成30年度は、基礎的作業として、人的資源管理論や大学マネジメント、大学職員論をめぐる新動向や政策展開などに関する先行研究や文献等の発展的レビューを継続的に実施した。これと並行して、優れたマネジメントを実践している大学役職員を対象とするインテンシブな質的調査、およびホワイトカラー総合職モデルをベースとして平成27年度に実施した大学職員アンケートの発展版を設計・実施した。アンケート調査の設計にあたっては、 SD義務化をはじめとする大学職員活性化施策の初期効果について検証を行うこと、職員による価値創出にむけてその基盤となる建学の精神やビジョンの浸透度や具体的活動への展開状況を測定すること、大学職員の成長を阻害している構造的要因を把握することなどを新たに目的として取り入れた。 質的調査では、優れた成功事例の調査分析結果を発展させることで、大学職員が、価値を創造する仕事を実現するための手法の開発に取り組んだ。そこでの鍵となるのが「建学の精神」の再興であり、4つのアプローチについてプロトタイプを構想した。今後、開発を進めていく予定である。 アンケート調査では、 ①一般職員の仕事の8割は定型作業や習熟型業務となっており、3年前と比較して進展がみられないこと、②建学の精神について、構成員に浸透し精神的支柱になっているという評価が一定割合みられる一方で、積極的な価値を見出せない職員も3割近く存在すること(一般職員の場合)、③研修に対して60%が「有用性が低い」と回答し、「有用で活用している」比率14%にとどまること(一般職員の場合)などが明らかになった。
|