本研究課題では日本式高専の特徴と特殊性を把握し、かつ、海外輸出においてはモンゴル、マレーシアでの高専の設立と国際協力及び交流という海外展開を、日本国内と海外での現地調査、アンケート調査により明らかにした。今年度は、前年度に達成できなかったマレーシアのINTECカレッジの日本高専予備教育機関であるKTJでの現地調査を実施しマレーシアでの高専教育の受容について検討した。ここでは、マレーシアからに本国内への留学生の流れにおいて、準備教育が機能している点とマレーシアの文化的、教育環境的な課題によって日本の高専の特徴(ものづくり、協働性、厳密な学習教育態度等)が部分的に受け入れられ、一部で時間厳守や先輩後輩関係などに受入消極的な点が見られることを明らかにした。 本年は研究期間延長後の最終年度として、これまでのアンケート調査結果と合わせて、研究成果報告書を作成し、モンゴル及び日本国内高専の留学生調査と比較して、それぞれの特徴を明らかにした。モンゴル3高専では実験実習教育の環境が十分でない学校においての高専教育の実施の難しさやマレーシアでの実験実習教育の前段階のみの教育となっている一方で、日本の教育についての理解が、東方政策などにより進んでいる状況が挙げられる状況を明らかにした。 今年度のマレーシア調査によって日本の高専機構や国内高専の協力体制により、予備教育機関としてのマレーシアのKTJやモンゴル科技大附属のPIUプロジェクトは受入方がやや異なることが分かってきた。また、日本国内の高専への留学生調査がわが国でも独特な地位を築いている高専教育の外から見たメリットと日本独自な故の受容困難な側面を明らかにすることができた。以上、こうした接続過程の相違による類型化を更に厳密にし、その中での日本の高専教育の導入を更に検討していくことが求められる。
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