本研究の目的は、豪州・へき地小規模校の学習環境の質向上をめざした教育政策および実践を分析し、その地域や学校の特性を「強み」として活用する方策を明らかにすることにある。 22年度は、それ以前の年度と同様に、豪州・クイーンズランド州内の遠隔教育学校(School of Distance Education)や寄宿学校、教育省への訪問を中心に現地調査を実施し、そこで得た知見を整理する予定であった。しかし、コロナ禍の影響で豪州訪問が実現できなかった。 しかし、オセアニア教育学会、日本比較教育学会、日本教師教育学会において、へき地学校の教育課題や教員不足に関して発表を行い、研究成果を公表することができた。 特にオセアニア教育学会では、研究推進委員会のプロジェクトの一環として、都市部とへき地の特に後期中等教育における教育成果(取得資格)の違いや、それらが就職や大学進学に及ぼす影響を考察した。その結果、学習環境及び教育成果の質の転換を目指す、多くの改善策が実施されてきたにもかかわらず、2000年代初頭から一貫して、地域格差は存在し続けていることを明らかにした。この成果は『オセアニア諸国の高等教育への接続と社会的公正』(学事出版)として、23年3月に出版した。 また、第58回日本比較教育学会、第32回日本教師教育学会のいずれも課題研究発表の一環として、コロナ禍における教員の役割の変容やへき地の教員不足の現状とその対策についてを、本研究の成果の一部を含め発表することができた。
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