研究課題/領域番号 |
16K04622
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
坂本 光代 上智大学, 外国語学部, 教授 (30439335)
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研究分担者 |
杉村 美紀 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (60365674)
出口 真紀子 上智大学, 外国語学部, 教授 (10593494)
渋谷 恵 明治学院大学, 心理学部, 教授 (40312805)
田村 梨花 上智大学, 外国語学部, 教授 (50349031)
宮崎 幸江 上智大学短期大学部, 英語科, 教授 (60442125)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マジョリティ / 多様性 / 特権 / 言語 / 多文化教育 |
研究実績の概要 |
コロナ禍で思うような活動は出来なかったが、できる範囲で出来ることに集中した。3グループ(教育政策研究、マジョリティ研究、多言語多文化研究)から成る本研究の活動は主に研究成果を発表するための図書刊行(『多様性を再考する:マジョリティに向けた多文化教育』上智大学出版)に向けた活動となった。教育政策グループは多文化共生のあり方と教育の役割について検討する上で、幅広く文献を読み、考察、理論構築、論文執筆という作業となった。マジョリティ研究では、52項目から成る「日本人特権尺度」を上智大学学部生と上智短大生学生を対象に春学期にデータ収集し、統計解析の結果、国籍・民族/人種・言語においてマジョリティ側の学生とマイノリティ側の学生との回答の数値を比較した際に有意差が見られ、尺度として日本人特権を有する側と有さない側との間で差別化ができることを示した。多言語多文化研究グループは、日本社会における言語文化的な特権について、大学生を対象に「日本人特権リスト」を用い調査を行なった。その結果、国籍や第一言語が、人種・民族よりも特権の有無に関係が深く、多数派と少数派では特権に対する認識が大きく異なることが明らかになった。研究成果は母語・継承語・バイリンガル教育学会でも発表し、論考にまとめた。12月には、3グループの成果発表の場としてシンポジウム「マジョリティに向けた多様化社会の教育」を開催し、カナダ国ブリティッシュコロンビア大学大学院の久保田竜子教授を基調講演者として招聘し、「レイシズムに対抗するために:多数者の視点から」と題した講演を、1月には立命館大学の社会学者岸政彦先生をお招きし、多様性を研究する上で親和性の高い質的研究法の一つである生活史(ライフヒストリー法)について「聞くことと書くことの間で:生活史調査とは何を「再現」するのか」と題したご講演をしていただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナで制約の多い中、海外渡航そして海外におけるデータ収集は実現できなかったが、国内でのデータ収集・分析はできた。また、上智大学出版より図書『多様性を再考する:マジョリティに向けた多文化教育』も刊行することができ、その記念シンポジウムを12月に、1月には質的研究法に関する講演会を開催することができた。また、マジョリティ研究グループは、特権について国内の自治体やNPO団体、企業や大学等の依頼で様々な場で講演を行い、その数は40以上となった。令和4年度は一層国内外での成果発進に努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は研究成果の発信を主軸とする。特に、可能であれば海外での発表を精力的に行いたい。また、日本語・英語両語での査読付き学術論文の投稿を積極的に行い、幅広い読者と本研究の成果共有を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の中、海外での学会発表やデータ収集が出来なかったため、令和4年度の旅費や学会登録費として使用予定。
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