研究課題/領域番号 |
16K04626
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
山本 志都 東海大学, 文学部, 教授 (30336424)
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研究分担者 |
猪原 龍介 亜細亜大学, 経済学部, 准教授 (20404808)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 異文化受容 / 異文化感受性 / 異文化間教育 / 異文化トレーニング / 異文化コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本研究は異文化受容の課題を「異文化感受性の発達」からとらえ、その測定ツールの開発と発達をうながすための教育法(異文化間教育・異文化トレーニング)を考案することを目的としている。 本年の実績の1つ目として、まず教育法としての「異文化感受性の発達における仮想集団間接触としてのコンテクスト・シフティング・エクササイズ」を第34回異文化コミュニケーション学会年次大会で報告した(11月10日、上智大学)。都市と地方といった流動性の異なる地域において、外国人との接触・交流経験、もしくは、国内移住者との接触・交流経験には大きな差がある。これまで異文化受容は外国人を対象に考えられることが多かったが、異文化感受性の発達の観点からとらえると、外国人に関わらず「異」を受容する力の育成を目指すことが有効であり、これによって日本全国で通用する教育が可能になると考える。 次に、異文化感受性の発達の観点から異文化コミュニケーション教育の教材となる本を成果物として出版することを目的に、海外研究協力者のミルトン・ベネット氏を招き意見交換や研究会を行いその準備をすすめた。異文化受容の発達を構成主義(心理構成主義・社会構成主義)と知覚(認知)の複雑性から促進できるように、外国人との接触経験のない人にとっても身近にある「異」の概念で理解がすすめられるように工夫している。日本国内において都市と地方では外国人との接触・交流経験も多様に異なっており、身近な異を受容する寛容性や互いの間の異を調整するコミュニケーション、異のストレスや葛藤と向き合う自己調整などを学ぶことから始めることが有効と考える。そこから特別視しがちな外国人との間の異を数ある異のうちのひとつとして現実をとらえ直し、受容・対応する力を育てることが、流動性の低い地方であっても今すぐ始められることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異文化感受性の発達の観点から異文化コミュニケーション教育の教材となる本を成果物として出版するプロジェクトについては海外研究協力者と継続した意見交換を行うことによって全体の7割ほどの執筆が進められた。 異文化感受性の尺度化については、当初予定では汎用性の高いユニバーサルなものを想定していた。しかし研究の進展につれ「特定コンテクスト」に特化した尺度の方がより有意味で現場でも役立つのではないかと考えるにいたった。したがって、平成30年度の質的調査に基づき整理した情報に理論的検討を加え、コンテクスト特定型(一般論ではなく場面や相手を限定した想起に対する)の質問紙を作成することとした。この目的のために、高度人材外国人労働者を受け入れる日本企業における日本側社員・職員を対象に調査を継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年(2020年)は2つ目標をもって研究をすすめたい。 まず1つ目は異文化感受性の尺度化で、外国人労働者受け入れというコンテクストにおける日本側企業の社員・職員の異文化受容度を把握できるような内容で尺度化したいと考えている。現在はグローバル人材と日本企業の橋渡しをする企業と協力をして質問紙に入れる項目を作成中のため、今年度中に質問紙を完成させデータを収集する予定である。今年度内でのデータ分析の完了を目指す。 もう1つは成果物の出版で、執筆を完了させて今年度内に出版することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
諸事情によって調査協力者や研究協力者と進めるべき内容の進行に遅れが生じた。
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