| 研究課題/領域番号 |
16K04629
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| 研究機関 | 早稲田大学 |
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研究代表者 |
沖 清豪 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70267433)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | A level試験 / 高大接続改革 / イギリス教育改革 / Sixth Form Colleges / プロジェクト学習評価 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は4年計画でイギリスにおいて進行中の高大接続改革、すなわちGCE A-level試験の改革動向とそれが中等教育機関や試験実施機関、および高等教育機関側に与えている影響について継続的に調査し、その社会的背景を明らかにするものである。本年度は計画の２年目として、これまでの当該改革の進捗状況とそれに伴う英国内における高等教育政策の転換を踏まえて、以下の4点について調査研究を進めた。
第一に、より広範な大学改革・学生支援改革として高大接続改革を捉えた場合の制度論的・歴史的意義を検討した。特にこの2年の調査で、日本における高大接続改革と比較して社会的にA-level改革に対する批判的な観点での言及が少ないことから両国での改革の社会的意義が異なる点を整理した。またIBへの関心のみならず、学力以外の評価指標としてのプロジェクト学習評価、およびＡレベルを超えた学力を評価するadvanced-extension-award(AEA)といった制度改革が進められている点に着目して検討を行った。
第二に前年度から引き続き、高大接続改革の社会的背景として政策の俎上に上っている学生支援策や地方格差問題と高大接続改革の関係について議論を整理した。
第三に次年度実施する全国中等教育機関に対するアンケート調査の準備として関連団体の訪問調査等を行った。
第四に、こうした動向について議会および中等教育機関としてのSixth Form Collegeの団体がどのような議論を行っているのかについて確認した。直近の議会での議論からは今回の改革がA-levelにおける大幅な改革よりも、基礎学力としてのGCSE試験の改革に焦点が移動していることが明らかとなった。また2017年度に公表された新A-level試験の結果について、中等教育機関ではすでに肯定的な対応へと移行していることも明らかとなった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は改革の推移に注目し、成績評価制度の改革に焦点を当てるものとなっていたが、実際に調査を進める中で、当初計画の範囲を超えて、地域間格差の問題や学力以外の評価制度の導入など、高大接続改革が有する諸課題および英国内におけるその対応策やその限界が明らかにできている。また当初予定していたアンケート調査については、基礎的な情報を訪問調査で収集できており、さらにアンケートで確認すべき内容を精選し、送付対象を広げて実施する準備を進めている。以上のことを踏まえて、研究としての進展はほぼ順調であると判断する。
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| 今後の研究の推進方策 |
残りの2年間で以下の作業を進めることとなる。
(1)中等教育機関に対するアンケート調査、および新大学での高大接続改革に関する意識の調査（一部訪問調査による）を実施する。
(2)大学進学者の地域間格差是正問題についてはすでに行政文書や各種データを入手しているので、それらを改めて分析し、格差是正問題の対処法を探索する。
(3)日本の高大接続改革との比較を踏まえると、探究型学習の評価手法として、特にプロジェクト学習評価制度が注目される。イギリスにおける高大接続改革自体が資格制度改革と密接に関連していることも踏まえて、単なるA level試験制度の改革動向を越えた観点から、高大接続改革の多様性を明らかにするように制度とその課題について資料調査およびデータ分析を進める。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査票の印刷・発送が2018年度前半に実施することになったため、次年度使用額が生じている。アンケート票印刷代、郵送料、および人件費を2018年度分として使用する予定である。
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